『リベラリズムへの不満』『リベラル嫌い』
『リベラリズムへの不満』(フランシス・フクヤマ)、『リベラル嫌い』(津阪直樹)の2冊を、去年の同じ頃に買った。
『リベラル嫌い』は割とすぐに読んだ。
『リベラリズムへの不満』は、ようやく先週から取り掛かって、今朝読み終わった。
『リベラル嫌い』はジャーナリスティックな本。ヨーロッパの政治家や市民運動家に取材して、現在の「リベラル嫌い」の実像を描いている。
本書を読んで思うに、各国に見られる「リベラル嫌い」のポイントは、左翼・リベラル政党が打ち出す経済政策・社会政策が、国民を豊かにする・国民の満足を得るようにすることができていないらしいこと。
一方の『リベラリズムへの不満』は、(ジャーナリスティックな内容を想起させるタイトルに相反して)政治哲学の文脈で現代のリベラリズムへの左右からの攻撃を論述している。
古典的なリベラリズムは、右派・保守派から攻撃されているだけでなく、左派の中からも攻撃されている、という分析は、他でも見たことがある。必ずしも新味は無いけれど、カントやロールズの理論、フーコーの仕事に言及しながら整理されており、密度が高かった。