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隠された前提条件と問い
前回のオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの変換を行ったときのことを振り返ってみてください。
前提条件(情報)と問い
オープンクエスチョンからクローズドクエスチョンへの変換にあたっては、実はさまざまな前提条件や情報を付加しています。
例えば、「郵便局員が赤いポストを掃除しますか?」は、「ポストだし、やっぱり郵便局の人が掃除するのというのが、まあまああり得ることかな」くらいの思考が働いているでしょう。
このような前提条件があると、「野良猫が赤いポストを掃除しますか?」という問いはなかなか出てきません。問いの形式だけから考えると「葉書が赤いポストを掃除しますか?」という問いも本来なら成立するはずです。
1人称の問いが支援している領域として、思考や判断を挙げましたが、例えば、「葉書が赤いポストを掃除しますか?」を、さらにオープンクエスチョンに変換した問い「葉書はなぜ赤いポストを掃除するのか?」をつくり、そこから思考を進めていくと、もし小説家だったら歴史に残る長編を生み出すことができるかもしれません。
さて、ここでお伝えしたいのは「前提条件(情報)が設定されていることはよくない」ということではありません。小説家なら「葉書はなぜ赤いポストを掃除するのか?」から、自由な発想の翼を広げることができるかもしれません。
しかし、普通の人なら「赤いポストを掃除するのは、やっぱり人だよね」くらいの前提条件の上で考えたほうが、思考を進めやすいのです。つまり、このケースではやはり、前提条件(情報)が思考を支援しているといえるのです。
問いづくりの精度を高めるただし、問いづくりの精度を高めたいなら、その問いに“どんな前提条件(情報)があるのか/隠されているのか”は注意深く観察したほうがよいでしょう。
前提条件の問いの効果の違い
「誰が赤いポストを掃除しますか?」は、そもそもポストは誰かが掃除するもの、という前提が見え隠れしています。
「ポストはなぜ赤いのですか?」は、そもそもポストが赤いことを前提としています。そして、グローバルな視点ではポストは必ずしも赤くはないのが現実なのです。
前提条件(情報)は、問いを限定し、思考を進めやすくすると同時に、その限定の外側に思考を向かわせにくくさせます。
だからこそ、この問いには“どのような前提条件(情報)があるのか/隠されているのか”を注意深くチェックし、その内側で考えるべきなのか、少し外側も検討しようとするのかを、判断することが大切です。
また、この前提条件(情報)がある問いを、自分以外の相手(2人称のシチュエーション)に不用意に使うと、誤解の元になったり、あるいは「全く的外れのことを話す人だ」と信頼をなくすことになったりします。
チームメンバーやクラスといった複数の相手(3人称のシチュエーション)に対して使うと、さまざまな意見が出にくくなったり、対話が進まなかったりする可能性があります。その結果として、相互作用が起きず、予定調和的な結論しか導かれないということもあるでしょう。
ですから、問いに含まれる前提条件(情報)について、自覚的であることが求められるのです。
それでは、これまでつくったオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンには、どのような前提条件(情報)があるのか/隠されているのかについて、ひとつずつ考えてみてください。