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“よい問い”をつくろうとすることからの脱却
“よい問い”とはなにか?
この答えとして、さまざまな言い換えが試みられてきました。
“隠された前提条件を揺さぶる問い”、“深い対話を導く問い”、“価値観まで届く問い”、“内省を促す問い” etc. どうも、この命題には「そもそも“よい問い”というものが存在する」という前提がひそんでいる気がします。
例えばある問いが、多くの人とってはわかりにくく、ちっとも対話が深まらなかったとします。
ところが、この問いを持ち帰ったひとりが2年間、それを温めた結果、これまでの限界を突破できる技術的ブレークスルーをもたらしたとしたらどうでしょう? それは“よくなかった問い”でしょうか?
どうも“よい”(あるいは悪い)というのは、その時々の価値基準や時間軸の取り方によって、いかようにも変化してしまいそうです。
たとえばワールドカフェだったら
たとえば“ワールドカフェ”では、その構成を3つの問いで行うため、例えば、3つ目の問いが単に同じ“明日からあなたにできるちょっとした一歩は何でしょうか?”であったとしても、1つ目、2つ目の問いの展開によって、全く異なる結果をもたらすことは想像に難くありません。
いきなり”よい問い”を求めること
このようにいきなり“よい問い”を求めようとすることは、竹取物語のかぐや姫の無理難題に真剣に応えようとすることと似ています。
それ自体は価値のあることかもしれません(5人の求婚者のうち、難題に真面目に応えようとして怪我をしてしまった石上磨呂足だけは、かぐや姫から見舞いの手紙をもらうことができました)が、もう少し、理知的なやり方があるように思えます。
よい問いから、機能する問いへ
そこで、本書では、“よい”問いを求めるのは少し脇に置いて、問う側の狙いに対して“機能する”のかどうかを考えていきたいと思います。
もちろん、偶発的に、狙いとは別に結果的に素晴らしい何かが生み出されることは、どの分野でも起こりうることで、それを否定するものではありません。それができたなら、皆の注目に値するストーリーとなるでしょう。
しかし、本書は“起こるかもしれないこと”ではなく、“誰ものが手に入れることができるもの”としての問いづくりを考えています。
一つ一つ“機能する問い”を積み重ねていくことで、さまざまな目的に対応できる、問いづくりの力を着実につけていきましょう。
それゆえに、ここで推奨したいのは、“よい問い”をつくろう、あるいはつくらねば、という気持ちから一度離れてみるということです。
最初は多くの問いをつくってみる
特に、最初の段階では、とにかく多くつくるということが大切な練習もあります。練習で指示される、単純で面白みのない問いこそ、その段階では重要である、という場合もあるということです。
“よい問い”から“機能する問い”へ。本書のキーワードの一つです。