世界一幸せになった男の話
「世界一幸せになったぞ~!」
って満面の笑みで鏡に向かって
ガッツポーズをしている男。
ちょっと変わったというか
かなり人と違う考え方を持つ中年男がいる。
この男は幸せとは無縁の暮らしぶりで
誰がどう見ても幸せになんか
なれるはずがないように見える。
見た目は若く見えるが
実年齢はかなりの年齢らしい。
髪は黒々としていて
天使の輪が出来ているが
良く見ると白髪も数本
いや、数十本
いや、数百・・そこまではないみたい(笑)
家族も居ない一人暮らしで
友達がいる訳でもなく
趣味らしきことも
全くしていない。
美味しいものを食べに行く
なんてこともしない。
体に良いものしか口にしないから
人からお土産を貰っても
誰かにあげてしまうような
ちょっと失礼な男だ!
そんな男だから毎年の大掃除は
徹底的に時間を掛けてやる。
どのくらいの時間を費やすかというと
朝から晩まで掃除をやり続ける。
しかし、2〜3日では終わらない。
4日、いや5日、いや6日か!
とにかくこの男にとっての
大掃除は年末の一大イベント。
新年を迎える時に埃や汚れがあっては
神様が福をくれないからと頑張るのだが
福を貰ったことはないようだ。
宗教とかは全く無縁の生活だが
氏神様への参拝は毎月行っているらしい。
参拝は月初めにネクタイをして
スーツ姿で行くらしいが
決して願いごとはしないらしい。
毎月の参拝は氏神様への
感謝を述べに行くのだとか!
そんな風変わりな中年男が
どうして世界一幸せになれたのか?
それは大掃除を始めて何日目かに
突然起こった不思議な現象から始まる。
毎年、大掃除には部屋の
模様替えを行う訳だが
押し入れもない部屋は
どう見ても広くはなさそうだ!
収納スペースといえば
ウォークインクローゼットだけ。
洋服を掛けるスペースの上には
物が置けるようになっている。
全ての洋服から使っていない物まで
全部を部屋に出して徹底的に
ウォークインクローゼットの掃除を行う。
これは毎年の恒例行事で
何も変わったことではない。
ウォークインクローゼットを
ピカピカにした後に
出した物を再び戻し始めたその時
なぜか古いランプが紙袋に入っていた。
骨董品の類は買わないのに
買った覚えのないこのランプを見て
「何だ!この古いランプは?」
思わず呟いて手に取ってみた!
手に取ったとたんにランプの中から
煙が吹き出してきた!
男はビックリ仰天して思わず
腰を抜かしてひっくり返ってしまった!
ひっくり返った拍子に後頭部を
フローリングにぶつけてしまい
そのまま失神してしまった。
気が付くと目の前に中年男が立っていた。
サングラスを掛けていているが
口元は笑っているように見える。
NICOLEのスリーピーススーツに
ネクタイもしている。
中肉中背で背は高くないが、
肩幅があってスタイルは良い。
髪はサイドバックにしていて
鼻が高くて細面のシャープな顔。
「えっ!誰?」
良く見ると靴を履いている。
男は驚いて
「何で土足で入ってるんですか!」
するとスーツ姿の男が言いました。
「細かいことは気にしない。」
男は
「大掃除しているのに、気にするわ!」
「部屋をピカピカにしてくれて
どうもありがとう。
私はこの部屋の※精霊・・・」
男:「部屋をピカピカにしたのに靴!」
精霊:「靴のことはさておき・・」
男:「だから靴!」
精霊:「話の途中・・・」
男:「どうやって入って来た?」
精霊:「その説明をしようと・・」
男:「靴を脱げって!」
精霊:「私の靴では汚れない。」
と言って男に靴の裏を見せた。
男:「確かに汚れてないけど・・」
精霊:「部屋をピカピカにしてくれたから・・」
男:「まだ大掃除の途中なんだけど!」
精霊:「話の途中なんだけど・・。」
男:「それで何の用?」
精霊:「用を言おうとしていたんだけど。」
男:「こっちは大掃除で忙しいんだけど!」
精霊:「それは知っている。」
男:「毎年、この時期は大変なんだよ!」
精霊:「それも知っている。」
男:「じゃ手短に!」
精霊:「願い事を叶える。」
男:「ホントに手短だな!」
精霊:「何が欲しい。」
男:「サングラスしていて怪しいなぁ」
精霊:「細かいことは気にしない。」
男:「何が欲しいねぇ~・・・」
精霊:「一番欲しいものを言いなさい。」
男:「お金、女、身長、成功、若さ・・」
精霊:「一番なものだけ。」
男:「3つじゃダメ?」
精霊:「一つ。」
男:「世界一幸せな男にしてみせて!」
精霊:「挑戦的だな。」
男:「何でもって言ったから!」
精霊:「ならば、これから言うことを実践しなさい。」
男:「えっ!出来るの?」
精霊:「世界一幸せになったと言いなさい。」
男:「それだけ!」
精霊:「鏡を見たら笑顔で言いなさい。」
男:「何回言えばいい?」
精霊:「毎日言い続けなさい。」
男:「何日くらい?」
精霊:「半年か3年か、それはあなた次第。」
男:「以外と簡単だな!」
精霊:「ありがとうを2万5千回言いなさい。」
男:「そんなに!」
精霊:「不平、不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を
言うと回数はリセットされる。」
男:「心に思ったらダメってこと?」
精霊:「言葉にしなければよい。」
男:「ありがとうは心を込めないとダメ?」
精霊:「心はこもってなくてもよい。」
男:「心がこもってなくてもいいの!」
精霊:「世界一幸せになりたいではなく。」
男:「なりたいではなく?」
精霊:「世界一幸せになったことを想像しなさい。」
男:「いつも俺が教えている予祝の法則だな!」
精霊:「ただし、条件がある。」
男:「条件?」
精霊:「世界一幸せになったら・・」
男:「なったら!」
精霊:「世界中の人を幸せにしてあげること。」
男:「俺の目標は世界中の人を幸せにすることだ!」
精霊:「幸せは人が運んで来てくれる。」
男:「そりゃそうだ!」
精霊:「頼まれごとをされたら引き受けなさい。」
男:「頼まれごと?」
精霊:「幸せは頼まれごとから始まる。」
男:「仕事のオファーだな!」
精霊:「お金は人の為に使いなさい。」
男:「俺の目標は世界的な慈善事業家だからな!」
精霊:「楽しく無理なくやればよい。」
男:「分かった!楽しくやるよ!!」
精霊:「大掃除の邪魔をしてすまなかった。」
男:「LINEを交換しようぜ!」
精霊:「スマホは持っていない。」
男:「持ってないんかい!」
精霊:「それから・・・」
男:「それから?」
精霊:「トイレ掃除は毎日すること。」
男:「分かった!」
精霊:「それから・・・」
男:「まだあるんかい!」
精霊:「玄関には物を置かない。」
男:「分かった!」
精霊:「それから・・・」
男:「まだ続くんかい!」
精霊:「出来る範囲でやりなさい。」
サングラスをしているが笑っていた!
男:「ありがとう!」
ハッと目が覚めるとどうやら大掃除の最中に
うたた寝をして夢を見たようだ。
「大掃除の最中に疲れて眠ってしまった!
それにしてもリアルな夢だったなぁ~」
この一風変わった男は何故か夢のことを
実践し始めてみた。
3年も掛からずにこの男は
本当に世界一幸せな男になってしまったのです。
この話の続きは次回をお楽しみに!
最後まで読んでくれてありがとう!!
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