冨田ラボの音楽に出会ったから、僕はベースを手に取った。
僕はとにかく、楽器を弾くことがずっと好きだった。物心もない頃に、兄が習っていたクラシックピアノを羨ましく思って、同じピアノ教室に入れてもらったその日からだと思う。
ピアノに飽きてからは、どういうわけか、バイオリンを習い始めた。どういうわけかというのは、習うに至った経緯を全く覚えていないからだ。バイオリンという楽器は好きだった。弓で弦を擦れば振動が発生して音が鳴る。至極シンプルな発音原理。指板にはフレットもなく、音程という壁を取り払うことができるのが楽しかったし、弓の扱い次第