【鑑賞日記】運慶―女人の作善と鎌倉幕府展を観に行った
運慶―女人の作善と鎌倉幕府 @神奈川県立金沢文庫
企画展名にある「女人の作善」については、正直なところあまり理解が深まらなかったなあという印象でした。
このキーワードに関係する絵巻や歴史的な背景の紹介が、情報としては相応に興味深くはあるものの量的には多くはなく、また絵巻ものの宿命として一部分だけの展示にならざるを得ないといった残念さのため、このテーマを深く掘りさげるには物足りなさを感じました。
さて、運慶です。
企画展のポスターにも使われている運慶作の仏像は、サイズ感としては2、30センチほどでコンパクト。にもかかわらず小さな仏像ながら細かい造形が目を引きました。
いくつかの欠損部分もあり少し残念ではあったのですが、色の残り具合が良好。また、実際に観るとその精緻さに感心させられました。
ポスターをみたときは「お、不動さまだな?」と思ったのですがこれが勘違い。大威徳明王でした。確かにあらためてみると、多面だし仏眼もクワッとしていて、確かに大威徳だあと思いました。
神将像も多く紹介されていました。特に曹源寺の十二神将立像は、基本的に木の地色なのですが、鎧?の部分が黒く、これが実にカッコよさを演出していました。そして躍動的なポージングと顔の表情もまた見事。全員がそれぞれ定型ではない表情がダイナミック。戯画的に誇張されているようにもみえて素晴らしい。
個人蔵の神将像も展示されており、これらは造られた当時の色が残っていて、その美しさも合わせて堪能することができました。色彩が保たれていることで仏像の造形や表情が一層鮮明に感じられるように思えます。個人蔵の仏像はそういうところも魅力的ですよね。
金沢文庫は展示規模はさほど大きくはありませんが山椒は小粒でなんとやらの言葉どおり、素敵な展示でした。