【鑑賞日記】ブルターニュの光と風展を見に行った
ブルターニュの光と風 @豊橋市美術博物館
フランスの一地方である「ブルターニュ」を起点にしてフランス近代絵画の歴史を俯瞰するという企画でした。
ロマン派あたりから後期印象派を経由して近代絵画まで、といったラインナップ。展示作品規模はそんなに大きくはなく、そして(作家は知っていても)有名どころの作品はないものの、見応えも十分あり、ちょうどいいサイズ感の展覧会だったかなあ。
フランス美術史におけるブルターニュというまちの位置付けについては寡聞にして知らなかったのですが、けっこう興味深い立ち位置だったんですかね。
え、こんな作家も滞在していたのか。とか、そういう驚きがありました。
作品群をみると、パリの絵画シーンの動向をけっこう受けているのですよね。たとえば点描技法などの印象派の表現技法がバリバリ取り入れられての風景画が描かれていたりする。
作家が滞在すればそういう伝播はあって当然ではあるのでしょうが、そもそもブルターニュとパリってそんなに頻繁に行き来できる地域だったのかなあ。実距離だと約500キロ。19世紀末の人々の移動に対する感覚については知りたいところです。
あと、風景画を描く。印象派あたりの時代。というと、自分はバルビゾン派を思い出してしまうのですが、本展示では言及がありませんでした。あまりその線での絵画史的な考察などはないってことなのかなあ。
面白いと思ったのは地域に根ざした信仰とそれに紐づく民族衣装や祭りの情景を描いた作品が多々あったこと。シンプルに絵として魅力的でもあり、地域の風俗を知ることもできてよかったです。
あと、ナビ派と点描派の作品群もよかったですね。
点描技法って濁りのない色で華やかさがある反面、動的なモチーフを描くのは難しいのかなと自分は思っていたのです。ですが今回、動きのある海をモチーフにした作品があり、そうか点描でこういう絵もイケるのね、という驚きがありました。
また、自分は、ナビ派好き好きクラブなのですが、その中でもイチ推しのモーリス・ドニの未見作品に2つも出会えたのはもう感謝感謝です。あ、もちろんピエール・ボナールの作品もね。
あまり作品数が多いと正直みるのがしんどいときもあって、今回の規模は落ち着いて鑑賞できたなあと。堪能しました。