
【度々紀行】逗子と鎌倉の史跡などをめぐるプチ旅
晴天の天気予報に裏切られた曇天。
それでも近所?のあれこれをめぐる旅に出ました。目指す目的地は山の中。といっても近場も近場。これって旅? 散歩? ハイキングなのかな?
ともあれ、山道なのでがっつりトレッキングシューズを履いて出発です。
東逗子駅から神武寺へ。お目当ては仏像の特別開帳。
神武寺への道は、数年前の夏に鷹取山までのハイキングで使っていました。そのときはなんか猛烈に息があがってものすごくしんどかった記憶です。
なので今回はそれ相応に覚悟もして歩いたのですが、思いのほか足取り軽く進むことができました。ひょっと拍子抜けです。
気温が20度ほど違うからかだったのかもしれません。
いずれにせよ気持ちのよいみちゆきで、山の中の景色も堪能しながら進みます。
ルートとしては参道入口あたりのコンクリートの上り坂が実は一番キツく、足元が土に変わると勾配も緩めになり歩くのも楽になります。
その土の道も、石敷きの道や岩を階段状に切り出した道などそこここに参道としての細工があって面白いです。
ただ、苔や濡れ落ち葉で滑りやすくなっているのはちょっと用心が必要でした。地面自体もそこはかとなくぬかるんでもいました。
どうやら早朝に雨が降ったらしい。すれ違ったハイカーがそんなことを言っていました。
神武寺に到着。
まずは薬師堂。回向柱にしっかりとお参りの感謝と挨拶をしたのちに道内に進み、特別開帳その1となる本尊薬師如来を拝観します。
薬師如来は落ち着いた端正な表情でした。サイズ的にも大きくもなく小さくもなく過不足ないお姿。螺髪?がなんとなく長めで、髪伸びたなあ的にみえました。気のせいかもしれませんけれど。
まわりには十二神将がにらみをきかせています。いずれの将も渋い黒色の姿で、これはお寺の日々のお務めによるものなんでしょう。また全員口内に赤色が残っているのがよかったですね。
もうひとつ手乗りサイズの三猿像がひっそりと座っていたのも微笑ましかったなあ。こちらは木地の色のままだったので最近のものなのかもと思いました。
続いて客殿に行きます。阿弥陀如来三尊像にご挨拶しつつ、十一面観音坐像に特別参拝します。今回逗子市の重要文化財に指定された記念の特別開帳だそうですが、これが実に美しい。
落ち着きのある鈍い金色のお姿、蓮華座は当時の極彩色を思わせる色残りが素適。光背もがすかし彫になっていて厨子の金色と相まって立体感マシマシの美しさ。
普段は非公開の神武寺ですが、またいずれお会いしたい。と思うのでした。
さて戻りは表参道ではなく京急神武寺駅に出ようと思っていたのですが、倒木だったか崖崩れだったかの影響で通行止めとなっていました。残念。
東逗子駅からひと駅移動で逗子駅に到着。
さらにバスで亀が岡団地まで進みます。
目的はそう、まんだら堂やぐら群。そして名越の切通し堪能です。
団地のはずれのフェンス沿いから延びる山道に入っていくと、すぐに第一切通しにその姿を現します。
身長の倍以上もあるだろう岩肌が道の両脇に広がっていて、よほど深く切り出された道となっています。さらに切通しは向かって右にぐいっと曲がる構造。迷宮っぽくて単純にかっこいい。
第一切通しを通り抜けるとすぐに次の第二切通しが登場します。
こちらは切通しの高さは若干低めですがそのぶん道幅もあり、堂々としたたたずまいです。第一とは違った感じの絵になる情景でした。
第二切通しを抜けてすぐに右手に進む登り口があり、そこを進むとまんだら堂に到着です。
まんだら堂やぐら群の存在は前々から知ってはいたのですが訪れたのは今回がはじめて。みた第一印象は「すごい!」の一言でした。
鎌倉に暮らしていると、やぐらって山際のそこここにあるのでそんなに珍しいものではなくなっているのです。
ですが、まんだら堂のそれは山の斜面ほぼ一面に整然と掘りこまれている。やぐらの中には五輪塔がしっかりと鎮座している。
うーん、歴史の重みを感じずにはいられない。そんな場所なのでした。
やぐら群の前庭的な広場には蓮葉様の草が一面に広がっていて、現世から遊離した空間にも感じられるのです。
またさらに数メートルほど登った展望台からやぐらを見下ろすと、先ほどとはまたちょっと違う表情をみせてくる。この気持ちをどう表現したらよいのかちょっと思い浮かばない。そんな史跡でした。
山道に戻り、鎌倉へ抜ける方向に進みます。
第三切通しは、一や二ほどの威容な感じではなく、邪魔になった山の出っ張りを削った感じのシンプルなものでした。自分の気持ちとしては、メインディッシュのあとのデザート、あるいは舞台公演後のカーテンコールのような感じでしょうか。
鎌倉に至る山道はここから一気に降りになります。それもかなりの急坂で、段がついてはいましたが、ぬかるんでいたせいもあり歩きやすいといい難い。まわりをみるとシダが群生しているので、雨の影響だけではなく普段から湿った道なのかもしれません。
鎌倉側から切通しに向かおうとしたらかなりしんどかっただろうなと思います。
ともあれ、名越の3つの切通しを制覇です。一気に堪能できてとても楽しいルートでした。
という感じの寺と史跡をめぐるなんちゃってトレッキングは終了。交通機関での移動時間等も込みで3時間半の旅でした。