よくみる『怖い夢』の3つのパターン
人間誰しも夢をみる。そして、みる夢は素敵な夢ばかりではない。
というよりも起きたときに憶えている夢って「怖い夢」の方が多いのではなかろうか。だって、怖くて飛び起きるんだもん、忘れようがないのではないのでは。少なくとも起きた時点では。
そして、この怖かった夢は一過性ではない。同じ内容のものをけっこう繰り返しみてしまう。たぶん怖かったという思いが脳内に記憶されてしまったため、睡眠中、怖い気持ちになったときに記憶から引っ張り出されて再現してしまうからではなかろうか。
怖い夢にはある種の定番となったプログラムがある。というわけで自分の定番の怖い夢について整理してみた。
その1 怖いものに追いかけかれる夢
自分が知っているようで知らない街にひとり途方に暮れている自分。そこになにかが自分を見つけて追いかけてくる。
追いかけてくる”怖いもの”は得体の知れない存在であることが多い。いつも同じ存在ではないが、”吸血鬼と自分が思ったもの”の場合が多いように思う。
追いかけられる、あるいはゆっくりとしかし確実に近づいてくるケースが多いが、向こうがこちらの存在に気づいていないケースもある。
自分はそれから逃げようとする。
もちろん、全速力で走って逃げようとするのだけれど、なぜか思うように走れない。水の中をあがくときのように速度が思うように出ない。空気が重く、進もうとするのを邪魔する。怖さもあるが、それ以上にもどかしさに苛つく。
だいたいここらあたりで目が覚める。
その2 窓の外になにかがいる夢
部屋の窓際にベッドがある。ふと、目が覚める。夜半である。
窓の外になにか気配を感じる。
眼を凝らすと窓の外に見知らぬ人がいる。自分の部屋は2階にあり、窓からは階下の屋根となっている。その人間は屋根の上にいるのだ。
そいつは部屋を覗きこんでいるときもあれば、屋根の上を徘徊しているときもある。窓から入ってこようとすることもある。
不審者であることは確かだ。自分は「お前は誰だ!」と誰何しようとするが、言葉が出ない。「あ、あ、あ…」と唸ることしかできないもどかしさ。
そしてその声で目が覚める。たぶん、自分の声にならない声は寝言になっていて、その声に驚いて起きるのだと思う。
実のところ夢を見ているとき、そして起きがけで目が覚めたばかりの状態のときは、さほど怖さは感じていない。むしろ違和感というか不可思議なことに巻き込まれているぞ、という焦燥感のほうが強い。
しかし、頭がはっきりするにつれて恐怖感が立ち上がってくる。じわじわと、ひたひたと。ああ、これは怖い、と思う。
直感的な恐怖感というよりも”これは怖い夢だった”と、起きた脳が認識することで怖くなる。あるいは思い込みによる印象の変化なのかもしれない。
このふたつの夢はかなりリピートしているが、起きたときはだいたい布団がめくれていて足が外気にさらされ冷え切った状態になっている。
調べてみるとこれは自分だけではないようで、足などが冷えていることが脳内で恐怖心に置き換わり、結果怖い夢を見るのだそうだ。
その3 学校に行けない夢
しかし、夢の中でも怖いと感じるのは超常現象的な夢ではない。
学校に行けない夢である。
受験当日でここで遅刻すると何浪になるのかという瀬戸際なのに履いていく靴やズボンがなくて出かけられない。あるいは長い期間、学校に行っておらずこのままでは卒業できないのにもっていくカバンがない。
こまかなバリエーションはいろいろあるが、将来どうなってしまうんだ? という焦りで怖くなる。
受験も学校もいまさらの話。もう何十年も前のことなのに、夢で見るそれは真に迫ってくるのだ。
焦った末に、そういえば自分はもう別の学校に入っている。仕事についている。だからこの受験が失敗しても、留年しても、なんとかなる。ああよかった大丈夫だ。と気づいて目が覚める。
直接的な怖さよりも数段怖い。不安を煽ってくる。
学校まわりの夢は、足が冷えているとかそういう具体的な原因なく見てしまう。たぶん精神的に不安定な状態のときに見るのだと思う。夢判断を調べても典型的なないようであるらしいし。
自分としては、正直、3番目のタイプが一番怖い。1番目や2番目の夢は、むしろたまには怖い夢でも見たいと思って積極的に足を冷やすこともないわけではないくらいなのだから。
結局のところ、超自然現象はフィクションで娯楽なのだろう。一方、現実的な課題を抱えた夢はリアルすぎるのだ。
これって大人になったからこそ感じる怖さの違いなのかもしれない。
初出 24年6月14日