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【鑑賞日記】蕗谷虹児展を観に行った

大正・昭和のモダニスト 蕗谷虹児展 @平塚市美術館

蕗谷虹児の描く少女像は今からみても魅力的です。

アーモンドのような、あるいは三日月のような、スンとした目がやわらかでありつつも力強く訴えかけてくるものがあります。

それが象徴的で具体的な魅力ポイントのひとつではあるのですが、とにかくこういうシンプルな線でかたちづくられるフォルムが好きなんですよね。

総じて、企画展のタイトルにもあるとおり、大正昭和のレトロモダン的なニュアンスが絵に色濃く出ていて、それが(自分は経験してきていない時代感であるにも関わらず)懐かしさと素朴さと、”今”を感じたのでした。

ただ、それは「ひとまわりまわって新しい」というよく使われるフレーズでもなかった。とすると「時代を超えた魅力」なのか? それもまた陳腐なイメージだなあ、と理由がうまくまとめられません。

膨大な作品は年代を追っての展示となっており、制作年を確認しながら観ていったのですが、自分としては、若い時代の作品の方がより魅力的に感じました。

不思議なのですが、若い時代の作品も年を経てからの作品も自分からすればどちらもひと昔以上前の作品なのです。だから差異はそんなに生じないはずなのになあ、とこちらもちょっと混乱したりしました。
やや粗さがある若い作品の方が勢いがあるせいなのでしょうか。それが若手感となって”今”を想起さてたのかしら、とも考えてみたものの、よくわからりません。

後年、アニメ制作にかかわっていたこともはじめて知りました。そういえばこういう絵柄の作品、あったなあ、と。その思い出が過去感になっていたのかも。

ともあれ、魅力的な作品をこれでもかというくらいに観ることができて、実に眼福なひとときとなりました。

あと最後に。蕗谷虹児の生涯をみての勝手な想像だけれど、(本人は不本意だと言うかも知れませんが)竹久夢二のように、そして藤田嗣治のような方向に進まなくてよかったんじゃないかなあ、と思いました。

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