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【鑑賞日記】ルイーズ・ブルジョワ展を観に行った
ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ @森美術館
ルイーズ・ブルジョアといえば、やはりクモの像の印象が強いです。
なのでブルジョアの回顧展ならば、クモシリーズがこれでもかというくらいに展示されているのかと思ったのですが、実際には2作品のみで(戸外の常設作品も含めると3作品ですが)、すこし物足りなさは感じました。
クモシリーズには他にどのような作品があるのか知りたかったところはありす。
ただ、展示室におめられるサイズの作品があまりないのかもしれませんし、クモばかりがブルジョアではないわけで、多様な作品を紹介するためには適切なチョイスだったのかなとも思います。
できれば、資料による紹介くらいはほしかったとも思いますが、それは各自で調べればよいのでしょう。
もうひとつのシリーズは、編みものを使った立体作品です。これらは男女の睦みをモチーフとしています。
本来その素材でそのモチーフなら、もっとあたたかみなどのポジティブな印象が感じられるはず。しかし、どの作品も観ていると、抱きあう二者の関係性における苦しさや、軋みのようなつらさが先立って感じられました。
それはブルジョアが抱えていたトラウマが作品に表れているのではないかと解説がありました。
それは確かにそうだろうと思いましたが、自分としてはそれ以外に性的な行為を罪として捉える宗教的な屈託もあるのではないかと思いました。
その正否についてもやはり、各自で調べていくべき内容なのでしょう。
総括して作品を見ると、どの展示作品にも通底しているのは、ブルジョアの父母に対する言いようのないネガティブな感情があるなということです。
そして、それが作品を産み出すことで昇華されているのだろうと考えると、ほんとうに創作とは興味深い行為であることよ、と思うのでした。