#オカルト
朋輩プロローグ・丑の刻
丑の刻(午前一時~三時)
その女は、頭に五徳をかぶってそこに三本の蝋燭を立て、下駄を履いていた。
胸には鏡をつるし、真夜中で人気も無い稲荷神社の、注連縄《しめなわ》を張った御神木の木肌をひと撫ですると
おもむろに懐から憎い相手に見立てた藁人形を出す。
その人形の中には自分の恋人を奪った元親友の髪の毛が入っている。
恵理子め、絶対許さない…
女が黒コートを脱ぐと中から現れた白装束姿。
朋輩3・名刑事今川康次郎
依子。
今年の桜ももうすぐ葉桜だな。
葉桜を見るといつも思い出すぜ…お前との見合い後の最初のデート、上野恩賜公園の桜を。
やっぱり俺にとっての桜の歌といえば…
滝廉太郎の「花」だな。
櫂のしずくも花と散る
流れを何にたとうべき
って名詞だよなあ。
と今川康次郎はお江戸エリア本所から東京エリア根津へ移動する途中で行商人から絹ごし豆腐を一丁買って長い脚で大股歩きして家路を急いだ。
ぽ〜っ
朋輩6・彼岸警察24時、捕物編
「土地建物全財産を長年の友である正木安吉に相続させるものとする」
江戸時代から代々続く小松菜農家、桑畑征五郎、享年85才の通夜でお坊さんが読経して帰った後で、隅の席にいた老人が懐から便箋を取り出していきなり読み上げたので、
周りにいた遺族は「あなた誰よ?」とざわついた。
「わしの名は正木安吉、征五郎さんのゲートボール仲間であるっ、遺言状の効力は絶対だからな!」
と以前征五郎じいさんがくれた