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甘い静かな時間 16
さとみさんとcalmeに行って少し落ち着いた。
家に着いて入った瞬間、電話が鳴った。
きらくんだ
「もしもし」
「あやさん?今大丈夫?」
「うん、大丈夫」
きらくんの声
耳に直接入ってくる心地いい声が安らぐ
「今日は来てくれてありがとう
顔見れてうれしかった」
「私の方こそ、
きらくんの紅茶、美味しかったよ」
「よかった
あのさ、近いうちに会えない?
話したいことある」
私はドキッとした
この間のことちゃんと話してないし、きっとそのことなんだろなと
でもちゃんと私も気持ち伝えなきゃと思い
「うん、週末以外の昼間なら」
「じゃあ、明後日いつものSWEET CAFEでお昼にどう?」
きらくんの声がどこか不安げだ
そんな不安な声されたら、私まで不安になる
それでも私は精一杯明るい声で応えた
「いいよ、明後日ね」
「ありがとう
あやさんに会えるの楽しみにしてる」
そういったきらくんの声が急に甘えた声になった
なに?急に甘えてきてる
どきどきしてくるじゃない
電話を切った後も、きらくんの声が頭から離れない
彼と会う当日、私は早く着いた。
まだ来てないよね
いつものことか
と思い、白い螺旋階段の上にあるいつもの席に座った。
そして、いつも飲んでいるコーヒーを注文して彼を待っていた。
待っている間、色々なことが頭の中を駆け巡った。
そういえばここで彼と会うようになってどのくらいなんだろう
っていうか、初めての出会いがキスからとか、ドラマみたい
と考えていたら、恥ずかしくなってきた。
あの時はほんとにドキドキしたな
まあ、今もドキドキするけど
と思いながら、無意識に唇を指で触れていた
そんなことをボーっと考えていたら、いつの間にか彼が目の前にいることに全く気付いていなかった。
「ここ、座ってもいいですか」
と、私の顔を覗き込みながら、ニッコリ微笑んだ。
「あっ、いつ来たの?」
と、私は考えていたことを読まれていたような気がして、慌てふためいた。
彼が座ると同時にスタッフがお水を持ってきた。
「ホットコーヒーを」
「かしこまりました」
注文した後、私の顔をじっと見てきた。
「な、なに?」
と私は目をそらした。
全てお見通しですよと言わんばかりの顔だ。
そうしていると、コーヒーが運ばれてきた。
彼は一口飲むと
「何考えてたのかなって」
と、横目で私を見てきた。
「いや、別に、特に、何でもないわ」
と言って、違う方向を見ながら、私はコーヒーを飲んだ。
そして、飲んだコーヒーカップを置いた瞬間、彼が人差し指を私の唇に置いた。
わたしはドキッとして動けなかった。
そして思わず
「あっ」
と声が出てしまった。
彼はしばらく指を置いて私の顔を見ていた。
もう、そんなに見られたら、直視できないよ
と思いながら、目をそらした。
彼の手が唇に触れていると思うだけで、ドキドキして体が熱くなってきた。
「な・に・か・ん・が・え・て・た・の?」
と、ゆっくり静かにささやいてきた。
もうダメだって、こんなに近くでささやかれたら、困る
それに、きらくん、指、ダメだって
すると、
「もしかして、キスした時のこと考えてた?」
と、またささやいてきた。
私は
やっぱり見透かされてた!
と思った瞬間、顔が赤くなるのが分かった。
すると彼は、ニタっと笑って
「やっぱり、あやさんすぐわかる」
と言って、指を離した。
「もう、
出会った時のこと思い出してたら、その、あの、・・・」
「な・あ・に?」
いたずらっ子のような顔で言ってくる。
私は、小さい声で
「キス・・したこと・・思いだしたの」
「それで、指で感触思い出してたんだ」
と言われて、恥ずかしさが頂点にたち、一気に血が逆流しているかのような感覚になった。
でも、頂点に行き過ぎたせいか、逆に大胆な発言をしてしまった。
「うん、あの時のキス、ふわっとしてて、優しくて、マシュマロみたいだったなって」
ていうと、びっくりした顔で
「あやさんて、急に大胆になるね
でも、嬉しい、そんな風に俺のこと考えてくれてるなんて」
「マシュマロかー
自分ではわからないな笑」
と、彼は照れ笑いしてた。
彼の言葉にふと我に返り、自分でも大胆になって何言ってんだと思うと顔から火が出そうになるくらい恥ずかしくなった。
「私何言ってんだろ」
と、両手で顔を隠した。
すると彼は、私の手を握って
「いつものあやさんだ」
「え?」
「おれ、あやさんの笑ってる顔が一番好きだ
なのに、この間は泣かしてしまった
ごめん」
いきなりでびっくりした。
謝らないといけないのは私なのに
なんでこんなに大人なの?
切なくなった。
「きらくん・・・
きらくんは何も悪くないのよ
わたしが、きらくんに申し訳ないことしたんだから」
ちゃんと話そう
気持ちをしっかり伝えよう
と私はこの時思った。
to be continued・・・
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