資格関連 期間の計算
鹿島 「組合員と家族の資格取得日について話してきましたが、ここまでで何か質問ありますか?」
出雲 「規約例では組合員加入申し込みから30日以内にとか、健康保険法の適用除外では14日以内にとか、書いてありますが、何日以内というのはどういう数え方をするのですか?」
鹿島 「良い質問ね。ここらで整理しておいた方がいいでしょうね。法111条には、
(期間の計算)
第百十一条 この法律又はこの法律に基づく命令に規定する期間の計算については、民法(明治二十九年法律第八十九号)の期間に関する規定を準用する。
と書いてあるから民法を見ればいいの。民法では第6章全体6つの条文が期間の計算について書かれているわ。たくさんでもないからひとつひとつ見ていきましょう。」
鹿島 「まずは、
第百三十八条 期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。
とあるわ。特別に決まっていないのであれば民法に書いてある通り計算しなさいってことね。」
鹿島 「次は、
第百三十九条 時間によって期間を定めたときは、その期間は、即時から起算する。
国保業務では時間による期間の定めは縁が無いので読み飛ばしましょう。いよいよ次からが本題よ。
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
「初日不算入の原則」と言われているものね。同じ期間を定めたとしても、同じ日の午前1時に決めたのと午後11時では全然違うものね。だから初日は計算に入れない。一日24時間にならない時間の端数切りね。だから、それがその日の初めから始まっているのだったら入れるという事ね。例えば被用者保険の喪失日は退職日の翌日午前零時からスタートするから喪失日を入れて数えるということ。続けるわよ。
第百四十一条 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
これはその日の終わり、日付が替わる直前までということね。窓口時間との関係もあるけれど、郵便ポストで受けるという事もできるからね。
続けて、
第百四十二条 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
これは休みの話ね。期間を定めた最後の日が日曜日や祝日だった場合は次の日に延長しますってことね。うちの国保組合は土曜日と年末年始も休みだから、それらも「その他の休日」ってことになって延長対象になるわけね。では最後の条文。
第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
ご存じの通り、月の末日は28日から31日まであるし、年は閏年もあるわね。日数や時間に換算すれば違いが生じるけれど、そこは文句を言わずに暦で計算しなさいってこと。2項は起算日が次の日から始まる時はその応当日の前日で満了と書いてあるから、例えば2月1日に借金をして1か月以内に返すと約束したのであれば、2月1日は初日不算入で期間計算の含まれず2日が日数計算の初日、起算日という事になるわね。1か月以内だから2月2日の応答日は3月2日で、その前日だから3月1日までに返せば約束を果たせるという事。この時に2月1日を含めてひと月以内という約束をしていたのであれば2月中に返済することになるわね。どう、ついてこれてる?」
出雲 「大丈夫ですが、何というか、正確に書こうとすると、こんな小難しい表現になってしまうんですね。」
鹿島 「曖昧を許さないのは数学並みよね。でも、こういう法律の条文を作る人が書いた小説はあまり読みたくないわね・・・・ってのは余計な事。さて、最後は、応当日が無い場合。1月31日の翌月は2月なので31日はないわね。閏年だった2020年2月29日の翌年の2021年2月には29日はない。こういう場合は月末となる2月の28日なり29日になりますよという事。これは難しくないわね。これで全部。おさらいの意味でひとつ問題を出しましょう。」
出雲 「・・・・お願いします。」
鹿島 「ご油断めさるな、フフフ・・・。組合員加入の申し込みを2020年1月29日に窓口で受けました。受理決定に関する規約は、A国保組合は30日以内、B国保組合は1か月以内と定めています。それぞれの国保組合はいつまでに受理を決めなければなりませんか?ちなみに2020年は閏年、2月29日は土曜日でAB国保組合はお休みです。A国保組合から答えてもらいましょうか。」
出雲 「1月29日、30日、31日で3日間、30日以内だから30日-3日で27日、2月27日です。」
鹿島 「ブブー。初日不算入を忘れている。」
出雲 「うっ、そうか、2月28日です。」
鹿島 「正解です。続いてB国保組合は?」
出雲 「1月30日の応当日は2月30日だけど、30日はないから29日、29日です。」
鹿島 「29日は何曜日?」
出雲 「あっ、土曜日なので、3月1日・・は日曜日だから、3月2日です。」
鹿島 「ピンポン、正解です。ちゃんと復習しておいてねぇー。」
(2024年11月29日)