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従業員は受け身の方が良いんじゃないか?

受け身で仕事をする。という文脈が悪きものとして語られているのは、もはや常識の域を出て、普遍的な価値になっているのは、当然のこととは思いますが、従業員という立場においては、果たして、そのとおり悪なのか?と思い至ってしまったわけです。

「受け身で仕事をする」の反対語は、「先回りして仕事をする」だと思うのですが、
その「先回りして考えられる人材になれ」というのも、もはや、一部の人材にだけ適用するべき「業務命令」なのではないかと思うわけです。
もっと言うと、「先回りして業務を回せる人材が枯渇している我が社において、その人材が必要だから、早く育ってくれ」という願望のような、極めて抽象的な、「我が社の課題を解決するための手段」なのだと思うのです。
だから、同じようなステージの企業間では通用する価値観に見えて、実は、他社では必要ない可能性も秘めている業務命令なのではないか?と思うわけです。

例えば、ライン作業員。パン生地に、あんこを詰めて、焼いて、袋に入れて、出荷する。
そう言う時には、「いらんのよ。焼いてないパンを袋詰めするな!」となるわけ。
いやいや、そんなところでは「先回りしろとは言わんだろ」と。

だからこそ、主語が「我が社」であり、依頼先が「我が社においての従業員のあなた」になるわけで、「我が社で働き続けるならば、必要な価値観」となるわけ。
それって、業務命令ですよね?
という、ニュアンスで片付けてしまったほうが良いのではないかと思うのです。

何が良いのかと言うと、入社したての若者や、右も左もわかっていない人材に、過剰に期待する温床になってしまっているのではないか?と思うわけです。
普遍的なビジネスマンに求められる価値観だと思うと、入社時点でその背中に背負ったランドセルに入れてこい!となるわけですが、
「業務命令」にまで価値観を下げてみると、
「そういやぁ、上司の俺、具体的な命令に噛み砕いて指示できてなくない?」
と、なるわけです。

「的外れな行動」というのは、直面してしまえばそのように判別できるものですが、具現化しない時点では、「問題か問題でないか?」の判断ができないのです。

では、例題です。
「明日、小学生を11人集めてゲームを行うので、鉛筆を1ダース用意してくれ。講師が使うらしい」
と言われたあなたは、
1)鉛筆を削っておきますか?
2)鉛筆削りを何個用意しますか?
3)消しゴムを何個用意しますか?
4)何を確認し何をしますか?

まぁ、これだけではなんとも言えないかもしれませんが、
「先回りできる人」が、どこまで先回りするのが正しいでしょうか?
せいぜい、ペットボトルの飲み物を、受講者の11人+講師分を買っておくくらいが関の山でしょう。

鉛筆を転がして遊ぶ場合、カッターナイフが人数分あるのが好ましいですが、前回、全員分購入してすでに講師が13本のカッターナイフを持っている人であれば、「削ってない鉛筆を12本用意してあれば良いはず」なので、この場合、1ダースの削っていない鉛筆が必要になります。

名前を書かせてテスト形式で何かをする場合は、削ってある鉛筆も、鉛筆削りも、消しゴムも必要です。
必要なものがわかっているのに、指示が無いなんてことがありえるのでしょうか?

だから、正解は「早とちりせず、確認して、指示を正しく受け取って、無駄なことをしないで済むように動く」が、従業員に求められる究極の素養になってくるわけです。

となると、「先回り」ではなく、「正しい指示を出してもらえる質問力」が必要なのです。
「何に使う鉛筆ですか?」
「予備は必要ですか?」
「今、事務所にある消しゴムがお尻についたものでも可能な内容ですか?であれば、2本だけ購入すれば用意できます。予備も含めて同じものを5本程度買っても良いですか?」
という質問が必要な展開になるわけです。

だからこそ、『従業員は受け身の方が良いんじゃないか?』という可能性が出てくるわけです。

積極的に受け身を取れる人材の方が、都合が良いんじゃないですか?と。

であれば、自発的に一手先を歩ける人材よりも、こぼれ球を逃さない質問メモ魔の方が良いのでは無いですか?という仮説がここに爆誕するわけです。

この仮説について展開するのであれば、
「受けた命令のみ実行していく人材」
「抜け漏れ、ニュアンスの食い違いを防ぐ質問力のある人材」
が、従業員に求められる素養なのではないかと、私は考えるわけです。

企業の本業は何を実行するのか?は、企業理念が唱えています。
具体的に何を実行して利益を出していく会社なのかは、ビジネスモデルと損益分岐点がそれを現しています。
あなたの部署は、会社から何の役割を期待されていますか?
あなたは、所属部署の上司から、なんの役割を期待されていますか?

ってことです。
だからこそ、重要なのは、
私は何をやったら良いですか?
っていうことがわからずにそこに所属していませんか?
ってことです。

従業員なのですから、
「受けた命令のみ実行していく人材」
「抜け漏れ、ニュアンスの食い違いを防ぐ質問力のある人材」
が、従業員に求められる素養なのではないかと思うわけです。
経営者と同じ視座に立って、
アントレプレナーシップを持って、
という意識が必要なのは、本当は誰に求められている宿題ですか?

と、私は問いかけたいわけです。
今日の思いつきが、誰かの元へ届いた時に、何かのヒントになれば嬉しく思います。

従業員のあなたは、求められてもいない尻拭いを、勝手に自分の仕事だと思い込んで、企業が気づくべき重要な問題の発覚を妨げていませんか?

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