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どうしてPS5もFacebookの新型VR HMDも値段が安すぎるのか?【#93】

今日のトピックは「『PLAYSTATION 5 SHOWCASE』と『Facebook Connect』」について。

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こんにちは、こんばんは。
VR/ARの会社を設立した大学院生(@iwhododo)です。
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この記事のまとめ

PS5は11月12日発売、価格は39,980円から
Oculus Quest 2は10月13日発売、価格は3万7100円から
どちらも破格のコスパでソフトウェアによるLTV向上が狙いか

発表会の秋、SONYとFacebookから

食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋・・・いろいろありますが、今はまさに発表会の秋です。昨日のApple Eventに続いて、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)PlayStation 5 (PS5)のリリース日やタイトル発表、FacebookのVR関連の発表が行われました。
関連記事:#AppleEvent 総復習。VR/ARの新情報は何だったのか?【#92】

PS5:11月12日発売、価格は39,980円から

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、プレイステーション 5を11月12日に発売。モデルは2タイプで、ディスクを使わないダウンロード販売のみのDigital Editionと通常ディスク版。価格はそれぞれDigital Editionが39,980円、ディスク版が49,980円。
先日発表されたMicrosoftの新型ゲーム機「Xbox」と同じ価格帯。ただし、ディスクなしのSeries Sはさらに安い299ドルです。

PS5はシリーズ初のSSDの採用によりロード時間が大幅に短縮。さらに描画処理を司るGPUにはAMD社のプロセッサを採用。また、PS5は3Dオーディオにも注力しており、“Tempest” 3Dオーディオ技術を採用。本格的なオーディオ体験と最大8K解像度出力の映像で没入感のあるゲームプレイを可能にします。オーディオによる没入感の重要性は後述のFacebookでも熱心に研究されています。
関連記事:「まるでそこにいる感覚」の鍵は音声...?【#83】

魅力的なタイトルも発表され、期待が高まります。

Marvel’s Spider-Man: Miles Morales

Final Fantasy XVI

Hogwarts Legacy

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高性能・低価格のOculus Quest2

Oculus Connectから名称変更し、完全オンラインで開催された「Facebook Connect」Facebook LIVEにてがライブ配信されました。

まず目玉となるスタンドアロンのVR HMD「Oculus Quest 2」10月13日発売で、299ドルからと発表。日本での販売価格は64GB版で3万7100円256GB版で4万9200円と判明しました。
これは現行版の「Oculus Quest」より1万円以上安い価格です。

しかしながらこれは廉価版ではありません。
むしろ性能は大幅に向上しています。SoC(集積回路)にVR向けの「Qualcomm Snapdragon XR2」を採用し、RAMは4GBから6GBに増量。端的に言えば、前世代と比較してCPU、GPUは2倍の性能を実現しています。

さらにディスプレイが高解像度化。Oculus Quest 2では1,832×1,920ドットとピクセル数が従来から50%増加しています。これによってほとんど4Kの解像度でVR体験が可能。リフレッシュレートは当面は変更せず72Hzですが、今後のアップデートでソフトウェア的に90Hzに対応予定です。

内容は既にリークされていたものから大きく変わりませんでしたが、性能が向上したにも関わらず価格が大幅に下がっていたために確証が得られない状態でした。
しかしながら実際にそれを実現したのが今回のFacebook Connectです。
関連記事:19日の発表目前?新たなOculus Questに関する情報まとめ【#85】

ソフトウェアサービスとしても既に発表しているVR SNS「Facebook Horizon」に加え、Venuesや各種ゲームタイトルが発表されました。日本について「日本はアーリーアダプターの多い国。クリエイターもすごく多い」と言及。
関連記事:FacebookのVR SNSに日本なラーメン屋も登場? 「Horizon」オープンβ登録開始|今日の「ヤバい!VR」#78
関連記事:開始6時間で1,000万円に到達したVRゲーム【#53】

また、VR空間での仕事術についても積極的に公表。結局のところキャズムを超えるためにはゲームや研究以外でどのようにつける体験や習慣をつけるかが課題のひとつですが、CEOのMark Zuckerberg氏も「Facebookが社員の50%は今後も長期的にリモートワークになるため、かなり注力している」と言及しました。

サプライズ:ARデバイス「Project ARIA」発表

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サプライズとしてARデバイス「Project ARIA」が発表されました。既にARIAはFacebook社員が今月から使用開始。、ARの研究に必要なデータを集められる研究用デバイスです。現時点で組み込まれているのはヘッドトラッキングセンサー、アイトラッキングセンサー、GPS、カメラなどで、いわゆるミラーワールドのためのデータ収集に利用される予定です。

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PS5とOculus Quest 2の低価格の理由

もちろんまだまだ必要のない人からすれば高額ではあるものの、競合他社や従来の製品、コストパフォーマンスの観点からすると破格としか言いようのない値段をつけたのがPS5とOculus Quest2です。
どうしてこのような価格設定が可能だったのか考えるヒントがありました。

PS5の発表に際して、SIEは、有料会員サービスPlayStation Plusについて、プレイステーション 5用の新たな特典「PlayStation Plus Collection」を発表し、PS4の有名タイトルがプレイできるようにすると明かしました。

PlayStation Plusはオンライン対戦やマルチプレイをするために必要なサブスクリプションサービスですが、PS4以上にPS5では加入が必然的になるサービスだと思われます。
また、コロナ禍の巣ごもり需要でダウンロード版のゲーム販売が大きく躍進したことから、ディスクのないDigital Editionがスタンダードになる可能性も考えられます。その場合はストアで一定の手数料をとるシンプルなビジネスモデルで継続的な収益が見込めるため、PS5はむしろ本体の販売価格ではなく、ソフトウェアやサービスでLTV(生涯顧客価値)を最大化することに焦点を置いていくことが予測されます。

あるいは任天堂の「リングフィット アドベンチャー」や「マリオカート ライブ ホーム サーキット」にハードウェアのキットと連動して遊べるバリエーションを増やす可能性も考えられます。
関連記事:AR×マリオカートでわかる「今回も早すぎたセガ」たちと、ダイナミックに変化するリアル【#82】

同様に性能面でも取り回しの面でも大きく他を引き離したOculus Quest 2が低価格で販売されることによって他のVR HMDを買う理由を完全になくし、競合他社との決定的な差をつけることが販売台数次第では十分に可能です。

単価を下げることでその分売上は下がりますが、Facebookは既に有力ゲーム企業を傘下に抱え、ストアの手数料も継続的に発生することを鑑みると、トータルでは単価を高めて一時的な売上を立てるよりも大きな効果が期待できるものと思われます。

昨日のApple Eventも含め、GAFAそれぞれのVR/AR戦略がまた垣間見える発表会でした。
関連記事:【総説】GAFA各社のVR/AR戦略【#30】

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noteは毎日更新しています。昨日のトピックは「AppleEvent 総復習」と題して発表内容はもちろん、ARの取り組みとの関連付けをまとめています。

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過去のnoteはこちらにまとめています。

出典:

会社のみんなとドーナツ食べます。