出会い方より難しい
「いつか、別れが来る」
毎日、それがチラつく出会いがある。
主人の父母と同居しているが、義父の衰えがとみに進んでいる。
痴呆がかなり進んでいて、1分前の記憶がないから、地道に声をかける。
トイレに入ると、「お父さん、ドア閉めてね」
出てくると、「お父さん、水流してないよ」
水を流すと「ドア閉めようね」
ドア閉めると「電気消した?」
電気消すと「手を洗うんよ」
手を洗うと「パンツをちゃんと上げようか」
これが一連のパターン。
でも、まだトイレに自分で行けるから助かっている。
この頃、足が危なくなってきて、トイレに行けるのが
いつまでか分からなくなってきた。
もし、おむつを替えるようになったら、体も重いし、
義母では介護が難しくなるだろう。
そうなったら、施設も考えないと、商売もできなくなる。
という話をしていたら、無表情で言葉もほぼなくなって
周りになんの関心もなくなっていたなのに。
聞いていたのだと思う。
昨日、つえをついて、外に出ようとした。
「足が動かなくなったらあかんから」という。
一人で外に出て転んだら大変なので、主人が止めた。
かわいそうだけど、どうしたらいいのか分からない。
お義父さんは、痴呆と老衰以外に悪いところがどこにもない。
きっと、このまま長生きするんだろうと思う。
それは幸せなのかどうか。本人にも回りにも。
幸せな最後を迎えてほしい。
出会い方もあるけど、別れ方もまた難しい。