地球万博の片鱗#1
"地球万博"という作品を、絵本として出版する次回作にしようと思っています。
なので、原案はこちらなのですが
この作品を
いろんな角度から膨らませていきたく
その物語の色々な片鱗の部分を物語にしていきつつ
最終的に、これらをつなぎ合わせて一つの「地球万博」という絵本にしたいなと思います。
今日はその序章の方。
「138おく年のおくりもの」
という作品を描いてみました。
-138おく年のおくりもの-
1-小さなあらそい-
今日は6つ離れた姉ちゃんが帰ってくる日だった。
なのに、父さんが出て行っちゃった。
世界中の感染症の拡大で、お仕事中もおうちにいることが多くなった父さん。母さんとケンカすることが多くなった。
小さな小さなほころびに、とうとう我慢ができなくなって
汚い言葉をぶつけてた。
母さんもそれで傷ついた。
ホントは思いもしない言葉を、父さんめがけて投げつけた。
2-姉ちゃん-
姉ちゃんは、とても明るくて、宇宙が大好きだった。
昔の夢は宇宙飛行士。
取ってつけたよな夢ではなくて
ホントにホントに目指してた。
小さい頃、姉ちゃんが教えてくれた。
「宇宙って、138億歳なんだよ?
そんな宇宙の歴史にすれば、あんたの失敗なんてちっぽけさ。
無いようなものなのさ!」
オイラはそんな姉ちゃんのおかげで
いろんなことに興味を持てた。
空飛ぶ魚や泳ぐ鳥、
一生かけても歩ききれない長いお城や
なんでも飲み込むどでかい滝。
世界はイイところで溢れてる。
そう教えてくれたのは、姉ちゃんだと思う。
3-仲直り-
父さんと、母さんがケンカしちゃった。
宇宙のことを想像しても、無かったことにできないよ…。
どうしたらいいんだろう。
無かったことに…。失敗が、無かったことに。
失敗…。
そうか、きっとそうなんだ。
父さんと母さんがケンカしちゃったことは
宇宙からしたら小さいことでも
オイラからしたら大きなことで
だけど本当はそうじゃなくて
諦めたいとか、逃げ出したいとか
そんな気持ちがちっぽけで
宇宙からしたら無いのと一緒。
悲しくて、辛くて、なんとか元に戻ってほしい。
その思いだけは、絶やさない。
僕だけが持てる気持ちなんだ。
僕だから持てる気持ちなんだ。
絶対に、僕が仲直りさせて見せる。
大きな国も小さな国も、世界中、みんな仲良しに。
ガチャと、ドアが開く音がする。
「姉ちゃん!おかえり!」
明るく希望に満ちた声が、家に響いた。
おしまい
かい(改@3分物語)