名刺に書かれているフォントを調査③
みなさま、こんにちは。
新入社員(営業)の畑中です。
今回は、名刺シリーズ第3弾です。
名刺シリーズ第1弾で、社長の名刺に使われている書体を調査したときに出てきた「 新聞明朝体 」についてご紹介したいと思います。
イワタの社員の名刺に使われているフォント③
1.さまざまな明朝体
イワタの「 明朝体 」は、異なるデザインのものが12種類あります。
ひとことに明朝体といっても ひとつひとつ、それぞれに特徴があり、印象や用途も異なります。
以下の図は、イワタの明朝体から4つ抜粋したものです。
明朝体の基本的な特徴は同じですが、どれもぱっと見ただけで違うことが判るほどに個性豊かですよね。
それでは、いったいどれが 「新聞明朝体」か、分かりますか?
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正解は、3番です。
2.新聞明朝体
よくよく見ると、新聞明朝体は ほかの明朝体と比べて少し上から押しつぶされているように見えませんか?
実際に、明朝体オールド と 新聞明朝体 を並べてみるとその差は歴然です。
上から重りでつぶしたように、平たくすることを、「扁平をかける」といいます。
通常、明朝体は正方形に納まるように作られていますが、新聞明朝体はわざと扁平をかけた際に文字のバランスが取れるようデザインされています。
なぜ扁平をかけることを前提としてデザインされているのかというと、そのまま ずばり「 新聞 」で使う明朝体だからなんです。
3.新聞明朝体の起源
それでは、なぜ 新聞明朝体が完成したのか、その起源をご紹介したいと思います。
昔の新聞は 活版印刷という方法で印刷されていました。
太平洋戦争勃発にともない、1941年(昭和16年)生活必需物資統制令が公布施行されたことにより、新聞に欠かせない紙の削減が迫られてしまいました。
紙が少ないということは、当然 新聞に記載できる情報量が減ってしまうため、文字を小さくして多くの情報を記載しようとしましたが、当時は 紙の素材も粗悪でしたので、単純に文字を小さくしただけではインクがにじみ判読できなくなってしまいます。
そこで、フトコロ(文字の中の余白部分)を大きく採ることで、にじみがあっても文字がつぶれず、
また、扁平をかけることにより 縦書きにしたときに1行に文字がたくさん入るようになりました。
4.新聞明朝体のデザイン
少し特殊な形をしている新聞書体ですが、
実際に新聞書体をデザインする際のポイントを社内のデザイン部に聞いてみました。
〈 デザインのポイント① 〉
・初めから使用目的に合わせた扁平率(高さ)でデザインする
〈 デザインのポイント② 〉
・「漢字」「ひらがな」「カタカナ」なるべく同じ大きさにデザインする
〈 デザインのポイント③ 〉
・縦組みに配慮した欧文のデザイン
5.新聞明朝体と明朝体オールドの比較
実際に新聞記事のように組んでみると、このようになります。
同じ文字の量でも、先ほど紹介したデザインのこだわりの通り、扁平をかけたり漢字かな の大きさを調整している分 新聞明朝体のほうがきれいに枠に収まっている印象があります。
上から下へ、また上から下へという、行から行への目の遷移回数も少なくなるので、文字が小さくても読者がストレスなく読みやすいように、文章の流れをスムーズに追うことができるのです。
イワタが開発した新聞扁平書体は、1941年に朝日新聞社で採用されて以降、数多くの新聞社で使われてきました。
みなさんも、新聞を見る際に 新聞明朝体が使われていないか、よかったら見てみてください!
暑かったり、肌寒かったり服装の難しい季節ですね。
みなさん体調にはくれぐれもお気をつけください。
それでは、ご覧いただきありがとうございました。