息子の自転車事故のこと。③
そしてはじめての手術入院。
朝一で初診の診察を受け、その日の午後には手術だった。単純な骨折なら手術をせずにギブス固定のみの保存的療法も選択肢としてあるようだけど。息子の場合は、肘関節の間の骨が大きくずれてるいわゆる複雑骨折。レントゲン写真はまるで症例の教科書にでも載りそうな見事なずれっぷりだったので、当然のごとく手術一択だった。
入ったら出られない?今どき入院生活。
お世話になったM病院では、入院時その場でのPCR検査(クイック検査)が必須だった。親子で検査を受けて無事に陰性、その足で入院病棟へ。よかったー。確かに安心ではあるけれど、なんとも今時だな。(ちなみに検査費用は自費6000円…)
ところで万が一ここで無症状の患者に陽性反応でも出たら、どうなるんだろう?
どこの病院でも外科手術してもらえず骨折を2週間放置されたりするのだろうか?このご時世、そのようなパターンだってあり得なくないだけに、なんかほんと。恐ろしい。だって病床不足で搬送先だって決まらない世の中だからね。皆さまどうか気をつけて。
入院棟に移ってからは面会はもちろん、一切の外出は不可。もちろん安心ではあるけれど、院内には売店なしの自販機のみ(もちろん付き添い者の分も食事は頼める)。最低限のものは用意はしてきたけれど、一度入ったら出れないってなんだか緊張するー。気軽に家族に差し入れを頼める距離でもないしね。ともかくこれが、今どきの入院事情だ。
人生はじめての特別室!?
付き添い前提の小児の入院は個室が基本だそうで。当日の空き状況から、思いがけず“特別室”なる部屋に案内される。といってもトイレとお風呂が独立した、そしてわりと窓が大きめのまぁ、ごく普通の?部屋である。その料金1日15000円…つまり素泊まり一泊30000円かー。あーこの金額なら親子でちょっと良い感じの旅館でも泊まれたのに。笑。こんな非常時でもつい不毛なことを考えてしまった。もちろん緊急時につき仕方ないのは承知してるけどね(一泊のみだったのが幸い)!
そんなこんなで人生はじめての“特別室”一泊体験は、不調を訴える息子に付き添い結局浴槽につかることもなく、ベンチのように硬い補助簡易ベッドで一夜を明かし、それでもまぁ快適に終わった。(基本どんな環境でも眠れる自身の特性に感謝!笑)
天神オフィス街の風景を眼下に見渡しながら、今なぜ私たちはここにいるんだろう?こんなことになったんだろう?なんだかとても、不思議な感覚だった。
手術って、やっぱりすごい技術。
午後ほどなくして手術が行われた。そんなにリスクのある手術ではないと分かってはいても(全身麻酔ではある)、やはり台車に横たわった息子を手術室前で見送るのは少し緊張した。…頑張って!
1時間ほど経って、手術が無事終わったことを聞き安堵。息子がまだ麻酔で眠っている間に先生から説明を受けた。
見せてもらったレントゲンには二本の細いピンがあって、ずれていた肘関節の骨をしっかりと固定していた。正常な右肘の反転画像と比べると、まるで同じ状態。すごい。というか、なんだか美しくさえあった。
世界最速、世界最小。
手術時間は約30分。手術の傷跡は想定通りの1、5センチ。担当のU先生曰く「(手術時間)世界最速、(傷跡)世界最小です」だとか。ごく穏やかで優しい雰囲気の先生から発されたオレ様凄腕発言!?にちょっと笑ってしまったけれど(失礼)。その言葉はとても頼もしかったし、心からありがたかった。
先生のお話によると、日本に整形外科医は数あれど“小児整形外科“の専門医は極端に少ないのだとか(なかでも先天性でない外傷性専門はU先生含めて全国に数人程度?)小児の場合は治療のアプローチがまた違ったりもするのだとか。たしかに成長期で骨が日々成長もするし、大人とは回復度合いも違うものねー。勉強になりました。
そして退院、骨折生活へ。
そして翌日のお昼前、退院。術後麻酔がきれてからはやはり痛みもあったし、それに伴い嘔吐も少しあったけれど、翌日にはだいぶ回復。術後にと用意していたゼリー等のお菓子を食べれる体調的余力は結局なかったものの、最近親子ではじめた囲碁なんかをする時間は少しあった。あとはテレビとか見たりね。
そうして息子にとってはじめての手術・入院生活は、なんとか無事に?幕を閉じた。
さてここからは、いよいよ長ーーーい骨折生活がはじまる。それは(幸いにも)骨折経験のない私にとっても、同じくはじめての経験だった。
つづく