事業復活支援金 続報(令和3年12月24日更新)
税理士の岩下尚義です。約1ヵ月前に、コロナ禍で売上が減少している中小企業・個人事業への給付金「事業復活支援金」について書きました。
この制度について12/24、以下の資料が公開されました。
前回は、今後注視したいポイントを挙げましたが、今回の公開情報で概要がみえてきました。追加情報をまとめておきます!
■ 比較対象期間
→ 2018年11月~2021年3月
前年又は2年前だけでなく、3年前の期間も比較対象です。
■ 算出方法
→ (基準期間の売上)△(対象月の売上)×5
⑴ 基準期間とは
① 2018年11月 ~ 2019年3月(平成30年11月~令和元年3月)
② 2019年11月 ~ 2020年3月(令和元年11月~令和2年3月)
③ 2020年11月 ~ 2021年3月(令和2年11月~令和3年3月)
のいずれかのうち、売上の比較に用いた月を含む期間
⑵ 対象月の売上とは
2021年11月~2022年3月のいずれかの月
(令和3年11月~令和4年3月)
持続化給付金の計算式に準じた方法になりました。
■ 上限額の基準年
→ 年間売上は上記算式で用いた事業年度の売上
個人事業の場合、売上高減少率50%以上なら上限50万円、30%以上50%未満であれば30万円ですが、法人の場合、売上規模により上限が変わります。
その売上規模の基準年に関する情報が公開されました。
▣ ポイント
申請開始については、所要の準備を経て、申請受付開始とあります。
ただし、3年前の期間も比較対象になり、また事前確認制度(詳しくはこちら)も必要になると思います。
過去の資料の用意・確認等、早めに準備していくことをオススメします。
また、単純に「減少額=給付額」ではなく、基準期間(5か月)との比較計算になります。基準期間の対象月以外の売上げ状況や、適用対象の基準期間が複数ある場合にどの期間を選択するかなど、算定にあたって検討すべき点がありますね。
〇 例題
例えば、コロナの影響を受けた法人(年間売上1億円以下を想定)が、以下の売上状況の場合、支給される給付額を計算してみます。
上記の場合、適用要件(30%減又は50%減)を満たす月は、12月になります。
比較⑴(2020年12月)
① 適用要件:100万円< 300万円 × 50%
∴ 減少率50%基準の給付対象
② 給付額:500万円△(100万円×5)=0円
昨年飛びぬけた売上があり、12月だけ比較すると50%以上の減少率になりますが、基準期間の売上合計が少ないため、給付額がゼロになります。
比較⑵(2019年12月)
① 適用要件:100万円 < 170万円×70%
∴ 減少率30%以上基準の給付対象
② 給付額:550万円△(100万円×5)=50万円
30%以上50%未満の減少率なので、給付額の上限は60万円ですが、上限に満たないため、給付額は算定した50万円になります。
比較⑶(2018年12月)
① 適用要件:100万円< 160万円×70%
∴ 減少率30%以上基準の給付対象
② 給付額:770万円△(100万円×5)=270万円
270万円>60万円 ∴60万円
30%以上50%未満の減少率なので、給付額の上限は60万円です。計算式に基づくと上限に達するため、給付額は60万円です。
結果、この場合には比較⑶「2018年11月~2019年3月」を基準期間として申請することで、最も給付を受ける事ができます。
昨年(比較⑴)と比較した方が、単独の月の売上減少率が大きく、支給される場合の上限額も大きいですが、基準期間の売上合計が算定額の基準になるため、上記のような結果になる事もあります。
上記例は、あえて検討を要する数値で説明していますので、必ずこのような複雑な計算を要するわけではありません(一般的にはもう少し簡単に給付額の算定ができると思います)。
数値例を挙げた理由は、計算方法を説明したいのではなく「状況によっては様々な検討が必要になりそうですよ」ということをお伝えしたいため!
私も現在、特にコロナの影響を受けているお客様と3期分の業績と現状の照らし合わせをしています。申請などはまだ先ですが、年明け後の情報も注視したいと思います。
#私の仕事 #事業復活支援金
#中小企業 #個人事業 #フリーランス
#仕事納め
#note納めはもう1回くらい?