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border line

この個展を再び開催すること。
実はちょうど10年前の2015年に「border line」を開催しています。

この写真たちを撮るきっかけとなったのが15年前に亡くなった父でした。

私が写真を始めるきっかけになったのも父が趣味で古い建築物を撮影していて、時々カメラを出してきては、三脚に立てて望遠レンズ(これは私たち子供の運動会を撮るため)で遠くの飛行機を見せてくれたりで一眼レフカメラに触れる機会が多かったこと。
そして、決め手が21歳頃に働いていた写真のDPEショップ(当時は至る所に写真屋があった)で一緒に働いていた同世代の女性が作品撮りをしていて、その写真を見て衝撃を受けたことから。
「日常をこんなに切なく美しく切りとって作品にできるんだ!」と。
私がやりたかった事って、これだ!と衝撃が走ったのを覚えています。

当時、父は目が悪くなってきたと言う理由でオートフォーカスのカメラを使っていたので、私が小さい頃に使っていたミノルタXG-Eは棚に置かれていたことを何となく知っていた私は「お父さん、あのカメラ使ってなかったら、ちょうだい」と思い切って言ってみた。
父はミノルタを手に取り「うん、いいよ、もう使ってないから」と言って私に手渡しました。

私は嬉しくて嬉しくて、その日から狂ったように写真を撮り始めた。

それから15年後、父は胃癌で亡くなった。
62歳だった。

若くして亡くなってしまった事を受け入れられなくて、私はやはり写真を撮る事で現実逃避をしていた。

その頃一緒に暮らしていた、ラブラドールのキリちゃんと毎朝子供たちの登校登園に合わせて散歩に出かけていました。
奈良県の北西部は霧が発生する日が多く、散歩の時も町が霧に包まれる日が多かった。
カメラを持って散歩するのが日課だったので、その霧の向こうに父が居てそうで、霧に遭遇する度に撮った。


それが今回の作品になったのです。
霧を追い続け、4年を費やしました。

最初にも書きましたが、10年前に一度大阪で個展を開催していますが、今回は去年で父が亡くなって14年経ち、いろんな気持ちがふっきれて、この作品をフォトコンペに出したいと思い、APAアワードに提出し、奨励賞をいただいたので、もう一度、みなさんにご覧いただきたいと思ったのです。

そして、信頼できるギャラリーがあったこと。(友人がやっている和歌山のかまどの下の灰までgallery)
色んな事がタイミングよく重なり、個展をさせていただく運びになりました。

是非、ご覧いただきたいと心から思います。


「border line」
息をひきとる最期の呼吸が
私の耳の奥から消えることはなかった。

あの最期の美しく切なく抱きしめたい呼吸をさがしに
心の旅へ出発することに決めた。

あなたの呼吸に会える場所
あの世とこの世の狭間に立ち
私はあなたの呼吸を感じる。


◻️2025年6月4日〜15日
◻️かまどの下の灰までgallery
開いてる
14:00-20:00(最終日14:00-18:00)
閉まってる
月曜-火曜と展示の無い日
〒640-8216 和歌山市元博労町 29番地
2070-8563-3182

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