夫は生きるのに向いている

夫を見ていて、ああこの人は本当に生きるのに向いているなぁ、と関心することが多々ある。

その事を初めて伝えた時、夫はその意味を全然理解しなかった。何を言っているのかよく分からない様子だった。

その「生きるのに向いているという意味が全く分からない」様子は、まさに夫が生きるのに向いている様そのものだとさらに感動したのだった。

私は基本がネガティブなので、心の底からポジティブな夫には出会ってからこれまでの間精神的にかなり助けられてきた。

いい意味で忘れっぽく、過去の事は気にしない。(覚えていないと言った方が正しいかもしれない)

仕事で嫌なことがあっても、私に愚痴を零した後はどうにか自力で解決し、引き摺らない。

あとはなんといっても、夫は自分自信の事を本気で大好きなのだ。

自己評価の低い私は、夫と付き合うにつれ、こんな人間がいるのかとかなり衝撃を受けた。彼は外見から中身まで自分自身をとても気に入っていて、そして誰よりも信頼していた。

クラスの中心にいる、明るくてお調子者の皆から好かれるタイプの人間である。

私は休み時間はひっそりとマンガを読んでいるようなタイプだったので、もしも学生時代同じ学び舎にいたとしても友達にすらなっていなかったと思う。

私は人間誰しも一度くらいは「死んでしまいたい」と思った事があるものだと思っていた。その本気度は別として。

しかし夫は33年間一度も無いと言うのだ。学生時代も、社会人になってからも、本当に一度も無いと。

夫は「死んだら勿体なくない?」と言った。

とてもシンプルな理由だった。

夫のおかげで私は以前に比べ大分前向きに物事を捉えるようになれたし、何か悩む事があっても深刻にならずにすんでいる。

本来なら絶対に巡り合わなかったはずの男女の組み合わせを試してみようと思った神様に私は感謝している。そして子供達もどうか夫の遺伝子を多めに持って、自分を好きなまま人生を生き抜いていって欲しいと願わずにはいられない。








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