「恩師」
(2012年にFBに投稿したものですが、久しぶりに記事の事を思い出してnoteに再掲します)
Facebookに書くのが適当なのかは分かりませんが、
他に書くところもなく、また是非とも書いておきたいので少々。
先月、学会に参加して、とある先生の訃報を知りました。
その先生は、今から7年前、D4で初めて学会の部会で報告したとき
コメンテータをしていただきました。
それも、別の先生からの急の代役で、
何の業績もない僕のことなど、当然のことながら全く知らなかったはずです。
だいぶ遅い学会デビューの僕に、発表後、
「君の論文はまるで数式を使ってるみたいに分かりやすいね。
早くパブリッシュ(公刊)しないの?」
と褒めてくれました。
その時の僕の論文は、研究のメインストリームである実証研究とはかけ離れ、
記述による(非常に地味で、時代遅れと揶揄されかねないような)学説史研究でした。
数式も一切使っていませんでした。
にもかかわらず、
「数式という単純化された言語を用いているかのように分かりやすかった」
といった趣旨のコメントを個人的に頂戴し、
感激したことを今でも覚えています。
当時は自分の将来に希望がまったく見いだせず、
自分の研究が学会でどのように評価されるかも分かりませんでした。
不幸にも僕のお師匠さんは何の評価もくれず、
発表が上手くいかなければ
博士論文の基礎となるべきこの論文もお蔵入りとなり、
自分の研究者人生は終わるだろうという覚悟もありました。
それだけに、先生のコメントは僕にとってその後の研究を支える
大きな励みになりました。
小林逸太先生、どうもありがとうございました。
もう一度、先生の前で発表したかったです。
合掌
ゼミ生と酒盛りします。