見出し画像

キレキレな人を見ていた

私(とパートナー)は、ふいに中国旅行に行った。
それは日本→中国に行く際のビザ免除が再開する前日から。目的地は、蘇州・同里。
台湾・マカオには行ったことがあるが、本土には初上陸した。

総合的に、中国の文化をもっと知りたいと思った。また行きたいと思っている。学生の時に、もっと気軽に行っておけばよかったな。

驚いたことは様々ある。

駅の券売機や小吃店で並んでいると、しれっと前に立ち私を抜かす人。朝から晩まで、ずっと誰かと何かを喋り続けている人。(それはそれは勢いよく喋っているので、何かを主張しあっているように見える。そして相手はご近所同士なのか家族なのか、初めましてなのかはよくわからない。どの飲食店に入っても店員は誰かと喋り続けているし、街角にはマイボトルのお茶を飲みながら喋り続ける警備おじさんがたくさんいる。なんの仕事をしているのだろう。)

我!という主張のはっきりとしたサマは、正直自分に欠けていることもあり「すごいな」と心底感心していた。

加えて、何事もスケールが大きく感じる。
上海駅、でかい。人多い。リニア(Maglev)は浦東空港から竜陽路駅まで30kmの距離をたった8分で到着。時速300km。ふぇ?
蘇州駅、でかい。拙政園のナイトツアー本気すぎる。日本の稚拙なプロジェクションマッピングを思い出して悔しささえ覚えた。

そして各所の看板やモニタ広告では「道徳」「文明」「法」という言葉が目に付く。私たちの思うそれとは、おそらく意図とニュアンスが違うのだろうとなんとなく感じる。

そんな色々な驚き・おもしろさがある中国だったけれども、なんだか私の頭に残ってしまったのが「ブチギレている人」。

喋り続ける人と少し重なるが、「我の主張」とセットで激しい感情が露呈するシーンを何度か見かけた。日本だと「大丈夫?」と心配をしてしまうようなシーンを、旅行中に何度か見た。

まず私がブチギレを目撃したのは、上海駅の人工售票(係員のいる窓口)。
私は蘇州に向かう高鉄乗車券(新幹線)をtrip.comで事前予約をしていたのだが、何も考えずに[上海虹橋→蘇州園区]の乗車券を予約していて、時すでに遅しでネットからキャンセルができない時間になっていたので人工售票に向かった。
人工售票での変更系の窓口は2つ、どちらも何だかお客さんがヤンヤン言っている。私の前で対応を受けているお客さんは高齢の3人家族という感じで、旅券変更か何かをしている。息子・老爺はヤンヤン言いながらも先に処理が完了し、最後に老婆の分というところで、なにか問題が起きたようで、ヤンヤン×5くらいになる。
ガラス越しの事務員さんも呆れており、同じ言葉を何度も繰り返す。
最終的に老婆がキレキレのあまり、涙を流すような格好で諦め、ヤンヤン言いながらその場を去っていった。

呆気に取られていたら私の番。何事もなく、ものの3分で、キャンセルと正しい紙チケットの発行まで完了した。(Google翻訳は便利)

上海から蘇州に向かう高鉄

その後は、山塘街。
山塘街は地下鉄ホームから地上にあがると、小吃店がいくつか並んでいる。
私は牛肉煎包を頬張るために並んでいた。
2つ左には「蟹壳皇」という人気店があり、その長蛇の列に女性グループが並んでいた。注文まで辿り着いたときはよさそうだったのだが、受け取りのあたりでなんだかヤンヤン言い始めている。ヤンヤンは店員さんに対してではなく、女性グループの仲間に対してのようだ。かなり大きい声でブチギレており、なんだなんだと見ていたら、取っ組み合いの喧嘩になっている。注文の認識がずれていたのか、はたまた関係のないお喋りから発展してしまったのかは全くわからないが、とても美味しそうな葱油の横で、そんな取っ組み合いの喧嘩になるなんて誰が想像するだろうか。

葱油もよさそうだったが、牛肉煎包もとてもおいしかった。

山塘街駅から地上にでたところ

そんなこんながあり、私の頭にはキレキレな人々が残ってしまった。
日本では本当にブチギレている大人って、見ないんだなぁと思う。

この国では自分の用件を”強く”主張することが大事そうで、それは特別なことではなく日常的なもののように思う。むしろ強く主張をしないと不利になる・敗北するという感覚があるのかもしれない。少し子どもっぽい手法なのではないかと思ったが、そういう手法で自分の用件や意見を通す人が多く、それで罷り通る姿を見て育ってきたのなら、そうなるのも自然か。生き抜く術とも言えるのだろうか。

「私はこの町(国)で生きていくことはできない」と悟った。自分の主張をするのは苦手だし、なにより声が小さい。今よりも存在感がなくなってしまうような気がする。
とはいえ食事や古典、古鎮、建造物は本当に素晴らしいので、これからも旅行として文化を楽しませてもらいたい。

同里古鎮
同里第一点心店の小籠包

いいなと思ったら応援しよう!