いつも使っている歯ブラシと色が違う。しっかりと歯を磨き終えて口を漱いだあとに気づいた。完全に手遅れである。何事も無かったかのようにそっと元のコップに差しておいた。歯ブラシの先が濡れているからバレるかもしれない。たまに俺の歯ブラシも使う前から濡れていることがある。多分イワさんも間違えている。イワさんは最高なのだ。
それ俺のパンツじゃんと指摘したら、別に良いじゃねえかサイズ一緒なんだし、と言って尻をフリフリと振ってパンツの模様を見せてきた。全然良くない。イワさんは最高なのだ。
イワさんが気に入っている小さくて高いアイスを、同じメーカーのデカいサイズのものとこっそり入れ替えておいた。風呂上がりに冷凍庫を開けたイワさんがちょっと嬉しそうな顔でこっちを見た。小さいほうは俺が食ったからそれは全部イワさんのだよ、と言ったのに、イワさんは一緒に食おうと言って小皿を二つ持ってきた。イワさんは最高なのだ。
イワさんを見た同僚は、この男は誰だ、という顔をしていた。イワさんはイワさんだ。俺は咄嗟に親戚だと嘘をついた。イワさんは最高なのだ。
イワさんが作った豚汁を旨いと言ったら毎日のように作ってくれるようになった。正直ちょっと飽きてきている。イワさんは最高なのだ。
洗濯機を回したままイワさんが酒を飲んで寝てしまった。洗濯はとっくに終わっている。イワさんはスヤスヤ寝ている。イワさんは最高なのだ。
イワさんのクッキーは昔ながらのさくらんぼの砂糖漬けが乗っている。素朴で優しい味がした。イワさんは最高なのだ。
最高!!