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落穂ひろい|神田橋條治



神田橋條治先生の「心身養生」シリーズ最新作『心身養生,もっと工夫を』が好評です。これをもってシリーズはひとまず完結となりましたが,著者の連想は泉のように湧き続けます。note読者に特別に紹介してまいります。


 「心身養生のコツ」シリーズは、「もっと工夫を」で完了しました。折々に目次を眺めて下さると、ご自分の「いま」の状況に適した養生法に出会われましょう。
 加齢のせいで、発想の質も量も貧しくなったので、シリーズを終了しましたが。残り火のような発想は湧出しますので、noteに載せてもらうことにしました。
 口開けは「老人の筋トレ」です
 微かな老いの自覚は、階段を下るとき、手すりの近に寄るようになることで始まります。足下が覚束なくなるのです。それへの対処として、下半身を強化する健康器具がいろいろ考案されて、ボクも三種ほど購入して、部屋のお荷物になっています。トレーニングジムに行かずに、テレビを観ながらでもできるはずなのに、しなくなっているのです。理由は二つです。
① わざわざ器具を準備するのが面倒で、しかもそれをしながらでは、テレビに溶け込めません。つまり、「楽しくない」のです。
② 確かに足腰の筋肉は鍛えられますが、健康感・若返り感という「報酬」がハッキリしないのです。階段下りは、下半身の筋力だけの作業ではないのです。全身の骨格筋と、それを統禦する脳神経系の活性化が必要なのです。
そこで、器具など不要で、いつでもどこでもできるトレーニングを考案しました。名付けて「グニャグニャ筋トレ」です。
① 準備:下肢を肩幅ぐらいに開いた、普通の立ち姿をとります。全身がすべて「緩んで」いるように「脱力」します。「阿波踊り」の「女踊り」を真似たような気分で、前進したり後退したりします。「全身脱力」が基本です。
② 本番:「男踊り」に変えます。腰を低くし、腕は頭の高さ位に下げます。大切なのは、「全身脱力」の可能な範囲を守ることです。「鍛える」ではなく、「気持ちが良い」を維持することが、このトレーニングの「最重要点」です。そのために「心身養生のコツ」の「舌トントン」を途切れなく続けて、「気持ちが悪い」をしないことです。「鍛える」ではなく「遊ぶ」です。
③ 慣れてきて、「退屈」感が出た人は、水の入った「ペットボトル」を両手に持って、「男踊り」をすると「充実感」があり、筋トレの効果も増します。腰の位置を、さらに低くするのも「充実」です。「舌トントン」を切らさないことで、その日の体調の測定にもなります。面白いことに、「幻のペットボトル」という方法も「あり」です。
④ 「舌トントン」で止め時を決めますが、目がパッチリすることと、何より、「階段を下りるリズム」が改善した喜びがあります。といって、早々に手すりから離れるのは「年寄りの冷や水」です。「いつの間にか離れていた」が自然です。


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