組織崩壊の4つの落とし穴
どうも、最高のチームを再現させたいIWAOです。
これまで僕は組織崩壊を何度か見てきました。業績が悪化して、批判に溢れ返り、離職者が後をたたない。経営者はイライラを隠しきれず、正しい判断ができなくなって業績悪化する負のスパイラルのことです。
世の中には0to1、1to10のノウハウは多いですが、10to1になったときに立て直すノウハウは少ない印象です。
今回はTHE TEAM 5つの法則の内容にある「チーム崩壊の落とし穴」を組織に見立てて、崩壊の考えられる4つの要因を落とし込みながら、そこから立て直す方法を解説してみたいと思います!
社会的手抜き
「社会的手抜き」とはリンゲルマン効果という心理学ベースの考え方で、自分ひとりくらい手を抜いてもいいという当事者意識の欠落です。それが蔓延すると組織の生産性は大きく低下するかと思います。
草むしりの例が書いてありましたが、人を増やしても草むしりが早く終わるわけではなくてサボってしまう人が発生し得ます。そして管理者はサボった人を探すことに執着してしまい信頼関係が失われる仕組みです。
ソフトウェア工学ではブルックスの法則「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけである」と言いますが、ヤバい組織は人を足し算で考える傾向があるように思えます。
当事者意識を高める方法は、「人数」「責任」「参画感」の3つを明確にすることと書かれています。
・役割が曖昧
・責任が集中している
・メンバーが欠けても補充しない
この辺りが当てはまる組織は手抜きを疑われても仕方ないので、バランス良く人員を配置して、ジョブディスクリプションを定義にして、個々の存在理由を明確にするなど当事者意識を持たせる施策が必要かと思います。
逆に当事者意識が低い人は本来のミッションから逃げてしまいがちで、悪く言えばコンフォートゾーンから抜け出せていないので、スキルがあろうともチームや組織を変えた方が双方にとって良いかなと考えます。
社会的権威
社会的権威は「あの人が言っているから」という心理で、肩書きや経験のある人に従ったために、個人ではやらないような間違った意思決定をすることとあります。パワハラが蔓延したような重い空気感が漂います。
メンバーは「言っても無駄だから」「どうせ否定される」と思ってしまい意見を言えない心理的安全性の低い環境になっています。ピラミッド構造の古い体質の組織や管理職にイエスマンがいるととこうなりがちです。
対策は"フラットに"議論することと書いてあります。上から下の一方通行ではなく、相互に意見交換できるような環境が必要です。そのためにも権威に対するイエスマンはメンバーにとっては邪魔な存在になるのです。
大きな組織だと労働組合があったりしますが、小さい組織だとスクラムマスターやVPみたいな生産性を上げるために環境を改善するロールを作って、小さい改善から行動に移していくことが主流になっていると感じています。
同調バイアス
同調バイアスは行動経済学に基づく考え方で、安心感を得たいがために周囲の人々と同じ行動をとってしまうことです。自習室に勉強にいったらみんなが雑談していたので自分も雑談してしまった例が書かれていました。
組織内の低い視座に目線を合わせてしまう罠で、僕はコンフォートゾーンと呼んでいます。ベンチャーはリスクを取らないことがリスクとか大企業病などど揶揄されるアレです。組織全体に漂う過剰なリスク回避の風潮です。
対策は組織の雰囲気を意識的にマネジメントすることと書いてありますが、同じタイプの人で組織を構成するのではなく、ポジティブな人とネガティブな人のバランスをとるマネジメントが必要だということです。
ネガティブな人に手抜きや思考停止を見張ってもらいながら、ポジティブな人に視座を上げてもらいバランスをとることで、個々が自分で考えて行動できる自発的な雰囲気づくりを目指すことが有効かと思います。
参照点バイアス
こちらも行動経済学に基づいてて、見本となる人物に影響されて、あの人よりやっているからと自らのパフォーマンスを下げてしまうことと書いてあります。同調バイアスと異なりリーダーに悪影響を受けるパターンです。
優秀な人でも間違いや参考にしない方が良い行動があります。見本を「人」に設定することで間違いにフォーカスされることがあり、本来なら英雄だったはずの人物が悪者扱いされ、優秀な人は組織を去ることもありえます。
対策はそれぞれのメンバーに求める基準を明確に定義することとあって、組織は「意義目標」「成果目標」「行動目標」「責任範囲」「評価対象」をそれぞれのメンバーに求める基準を提示します。
つまりうまくいってない組織は基準を変える必要があります。100点満点の理想を定義したくなる気持ちはわかりますが、それより土台をしっかり固め直すことです。組織としての基準を定義してメンバーと握ることですかね。
雑感
経営者もリーダーもメンバーもチームの法則を知って実践することで生産性を高めて豊かな人間関係を生み出すことがゴールなのでしょう。具体的な法則は本書に書かれていましたので、別途紹介できればと思います。
確かに過去の優れたチームではそれぞれがうまくやれる法則を理解していたのかなと思います。個の強みを伸ばして、弱みを補い合い、壁にぶつかったら一緒にアイデアを出し合えるようなチームは楽しく働くことができます。
心理学と行動経済学はアジャイルにおいても基礎となる学問です。組織論は感情に左右されがちですが、合理的に再現性を持って組織作りをすることがこれからの組織には求められるんだなと思いました。