固定電話機のお役御免
コロナ禍のおかげでテレワークの時間が圧倒的に増えている。前にも書いたのだが、仕事での外出は月に1度あるかないかだ。役員を務めている会社のオフィスへはもう1年近く行っていない。その代わり、Zoom会議はめっちゃ増えており、会議だけでなく、コンペのプレゼンまでもがZoomで実施されるケースが増えている。
そうした状況下で困るのが、犬と固定電話なのだ。
まず、うちのエルモ(飼い犬:オーストラリアンラブラドゥードル)は家の呼び鈴、いわゆる「ピンポン」が鳴ると吠える。
ぼくが書斎で仕事してるとき、エルモも一緒に書斎にいることが多い。これが、器用な物で、鼻先でよいしょっとスライド式のドアを開けて部屋に入ってくる。そして、デスクの下に潜り込んで足下で丸くなって寝るのであった。そこまではかわいらしくて良いのだが、既に書いたように、ここで「ピンポン」が鳴るとその刹那「ワン!」と最大のボリュームでやるものだから、こちらは飛び上がるほど驚くのだ。
最近は感が鋭くなっていて、家の前にトラックが停車して荷台を開ける音がすると、「ウー」と静かにうなりはじめ、スタンバイ状態に入る。そして、ピンポンが鳴ると烈火の如く繰り返し吠えながら玄関に向かって階段を駆け下りていくのであった。
これを、Zoom会議中とかプレゼン中とかにもやられたらたまらないので、最近は呼び鈴はオフにすることにしている。それでも、家族の誰かが玄関を出入りする音にも反応するので、完全に解決はできていないのだけれど。。
Zoom中にエルモが吠えるのも困るが、固定電話=家電(いえでん)も困る。デスクの脇に固定電話機を置いていたのだが、これが、最小音量に設定していても、なかなかの大きさでけたたましく鳴るのだ。そして、いつ鳴るか予測不可能。こちらも、呼び鈴と同じようにオフにしてしまえば良いのだが、ウチでは携帯電話に転送することで固定電話機は外してしまうことにした。
ウチはインターネットプロバイダーで光電話を一緒に契約しているのだが、番号転送サービスなるものがあった。しかし、これが有料だということと、そして、固定電話機からプッシュダイヤルで設定する必要があるということで、なんと、これだと固定電話機とおさらばできないのではないか!?なにか他にもやりようはあるのかもしれないが、いろいろと煩わしいことには違いがない。ということで、別案で行くことにした。ラズパイPBX化作戦である。
ラズパイというのは、Raspberry Pi という、剥き出しの基盤の上に必要なチップがすべて配線してある手のひらより小さい小型のLinuxマシンのことで、コンピューター教育とか、IoT用途とか、趣味とか、色々な分野で使われている。1台あたり2〜3千円で入手できる。こいつをうまくやるとPBX(電話の構内交換機)化できるんじゃないか、ということに気づいたのだ。
ググってみたらところ、どうやら比較的簡単にやれそうだということで、さっそく、書斎のケーブル類とかアダプター類とかがごちゃっと入った物入れの奥から数年前に入手したラズパイを引っ張り出してセットアップを開始した。
ラズパイはOSをSDカードに焼いて、そいつを挿して起動する。次に、Macから接続できるように設定する。ラズパイ用にモニターやキーボードやマウスがあればよかったのだが、生憎、手頃なキーボードもマウスも持っていなかったので、LAN経由でMacからラズパイに接続して使うということにした。
PBX化するには専用のオープンソースソフトウェアで「Asterisk」とういうのがあるから、それをインストールする。ルーター側の設定、Asterisk側の設定、いずれも、あれこれググって基本的な設定はコピペしつつ必要なところを少し変更する程度でなんとかできた。
転送を受けるスマホ側には無料の電話アプリをインストールして、Asterisk側であらかじめ設定したとおりにIDやPASSWORDやホストアドレスを入力すればすぐに使えるようになる。
そうして、晴れて固定電話を無くすことに成功したのであった。(写真は10年以上使っている、±0の電話機)
最初、ぼくと妻のスマホに電話アプリを入れたのが、常時スタンバイ状態にしておくとバッテリーの減りが早くてかなわない、結果、自分のスマホで受信することはやめて、使ってなかったAndroidのスマホを引っ張り出してきて、それを家電専用機としてセットアップすることにした。デスクから家電を追い出すという、当初の目的は達成したので及第点だ。
これは、完全に自分本位な物言いとなるが、Zoom会議中に困ると言えば、議員の街宣車とか、さおたけ屋、廃品回収車、灯油の販売車なんかも勘弁してもらいたいと思っている。