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愛や優--ドラマチックアラスカ

地元のタワーレコードのレジで長財布の蓋を開けた瞬間、
こんなに弱くてちっぽけで、人並みにもやってけないような人間が、ロックバンドなんて聴いて楽になっていいものだろうか、
とふと思った。

きょうも、ダメだダメだと口癖みたいに零しながら学校で過ごした。
化学の小テストが返ってきた。19点だった。前日丸一日必死で勉強した中和滴定の計算は、これっぽっちも出なかった。頑張ったのにと問題を恨む反面、全部カバーしきれない自分への憎悪も募らせた。


そこで服用した切り札精神安定剤、ドラマチックアラスカ。

こーれが。
「安定」なんて生ぬるいこと、させてくれませんでした。
精神ぶち抜いてくれました。
アラームを4時にセットさせました。


以下、

1曲1曲長々と書くのはあたしの得意技ですが、
今回はドラマチックアラスカの進化っぷりをクローズアップして、
ざあっと流れに沿ってゆらゆらと書かせてください。


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私が鳥肌モノだったポイント。

それは、
アルバム全体の、グラデーションっぷり。


1曲目 ジュブナイル、

「少し見飽きた 校舎を吹き抜ける風」

とあるように、
この曲は爽快な風の如く始まり、
耳から入って脳ミソをサワサワと揺らす。

この曲については以前1本記事を書いた。


からの2曲目、for you!!!

ちょっぴり、弱さが垣間見える。

でも確実に背中を押してくれる。
思わずスキップしたくなっちゃう。

あたし無敵なんじゃないかって。勘違いかもしれないけどそう思わせてくれる、気分をハッピーにしてくれる。


ここに、
トレーラーからいい予感しかしなかった、
3曲目 ハッピーエンドはいらないを投下。

アラスカらしさがグンッと引き出された1曲だった。

励ましてくれるお兄ちゃんだって、実は強くない。
でも爽やかさポップさ、なにより楽しいっていう感情がある。

ドラマチックアラスカの、このギャップが私は好きだ。
強くないのに楽しい。弱くても笑っちゃえる。
そのわたしの愛するアラスカカラーが前面に押し出されている。

音楽的なことがわからないが、サビのギターもちょっと王道から違っておもしろく聴こえた。
ますます楽しくなった。
好き!好き!好き!って噛み締めたくなるような、多幸感につつまれる。


気になっていたのは4曲目、Anger is an energyだ。

Anger=怒り 。

わたしはどこか、過去作でいう「地獄片」的なドロドロ粘度を期待していた。

ところがどうだろう。

1回目聴いた感想。
さっぱり。あっさり。
爽やかナンバーだったのだ。

率直に言うともっと怒っちゃってもいい!と、最初は思った。
確かに怒りはエネルギーだ。
でもきっとこれは、ちょっと大人になったヒジカタさんの歌だ。

怒りから前向きを手に入れた、強くて綺麗な人の歌だ。


心が爽やかに涼んでいるところ。

その瞬間だった。5曲目 どろどろり

「こ、れは、」
と思わず声が出た。

溜まっていた、と思った。
昇華した。一気に。

1曲目、純度100パーセントのアオハルの爽やかさ。
そこに徐々に徐々に、「怒り」という野性的な感情が混ざりつつも、まだ前を向いていられる冷静さ。

からの、「どろどろり」だ。

粘度しかない。
これぞ吠えるような強さ100パーセント、へと。


そしてここから一気にヒートアップする。
6曲目、RT:RT:

ここまで口調を荒らげた曲は、初めてではないか。

音符も無視して吠えまくる。
野生味MAX。きっとヒジカタさんの怒りそのまんまボーンと乗っかったのだろう。

率直なフレーズがガンガン刺さる、
髪を振り乱して歌う姿すら見えてきそうだ。

そしてそこに響く一声、
「俺たちは、
バンドマンだ。」

低くてしっかりした声。
ここで、
今までの6曲の暴れっぷりの中に、
ズンッと立つ鉄柱が現れたような。

究極の安定感が生まれたように感じた。


ここから第2章、と見せかけて実はもうエピローグに差し掛かっているというこの時の速さ。
7曲目、愛と優

注目したいところがある。

語尾。
サビの語尾が、1番も2番も「〜しまう」だ。

してしまう、って言葉、個人的にめちゃくちゃ好きだ。

自然としちゃう。もしかして間違っているかもしれないけど、もう止められない。自分の心はすっかりその方向だ。
この、流れに身を任せているようで、実は自分の核心にシッカリした意志があるからこそだ、っていうニュアンスが全部詰まった言葉。

勝手に肯定された気になった。
無謀とか無駄とか、向かっていっちゃうの悪くないよねって。
ドラマチックアラスカが一緒に歩いてくれる気がした。


そしてラスト8曲目。ファイナルフラッシュ

正直すっかり没頭しすぎて、この曲が最後であることを忘れていた。

だからこそ、初めて聞いた時と同じような感動がわたしを襲って、ここで一気に涙が出た。
顔しわくちゃにして声は出さずに泣いた。

追っていた背中のその人が、こっちを振り返ってくれたのだ。
そして手を差し伸べてくれる。

あたしは弱い。
こんな弱いやつ踏んづけていってよ。
なのにドラマチックアラスカだけは、見捨てないでいてくれるのだ。

いやあ大袈裟だよと言われるかもしれないが、わたしは本気でこの曲にそう思わせてもらって、助けられてきている。

それは4/18日、代官山UNITのあの日から。


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個人的な解釈にすぎないのだが、
わたしはこの8曲この並びから、
意味を感じられずにはいられなかった。


たまに曲調を荒らげるその姿が、
笑って慰めて前を歩いてくれるのに、
ちょっとだけ弱みを見せてくれるみたいで。

素直に好きだった。


.......最後にド素直な語彙力も何も無い感想を言わせてください。


ドラマチックアラスカ大好きです。
ライブが楽しみで仕方ありません。

これからも一生、生涯、ついて行かせてください。





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