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「最後の光」の目の玉 ーわたしがラストに選んだギターロックー


ライブハウス、
ライブ、ハウス、
live house。

生きた家、だ。ライブハウスは。「行く」んじゃなくて、「帰る」。
そういう意味で、あの地下空間は、「ホーム」だ。

帰った先はひとりじゃない。
必ず、迎えてくれる、あったか〜い人たちがいる。



この日待っていてくれたのは、
4人の男たちだった。

彼らはドラマチックアラスカですと名乗った。
ボーカルは自らのワンマンライブでバンド名を名乗るのを恥ずかしがった。



12月14日 土曜日
@渋谷CHELSEA HOTEL
「愛Я優ワンマンツアー2019」
By ドラマチックアラスカ


この日午後6時から奏でられた音たちに寄せて、

今回はちょびっとだけ!
あんまりに想いが強すぎちゃうからね!


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ライブで、ライブを「やる側」の人のことを、「演者」というでしょう。

演る者だ。演者。


でもドラマチックアラスカの場合、
確信するのは、



彼ら、「演」じて、いない。

本気だ。本心だ。
マジだ。



そう思ったのが昨日のライブだった。



彼らの音楽はハードだったりバラードだったりポップだったり、けっこう幅が広い。

この日もいろんな曲を奏でてくれた。


その1曲1曲、ほんとうに、それぞれ、
歌う弾く叩く、

目が、違ったのだ。



出だしはみんな、
主人公みたいな目をしていた。


Aボタン連打で必殺技を繰り出すみたいな雰囲気をバンド全体で帯びていた4人からは、「くらえ〜〜〜〜〜〜ッ!」なんて声が聞こえてきそうだった。


中央奥で支えるドラム、
そこに向かって目を合わせる左右ギター、ベース、
そしてただ前を見ているボーカルギター。

その4人の構図がまるで、昔憧れたポケモンマスターみたいだった。
きらきら輝くその姿は主人公そのものだった。


そうして、
「した方がたのしいと噂です」
なんて煽りを挟みながら、
グイグイわたしたちを引き込んで、自分たちのフィールドまで誘い込む。



ポップでハッピーな音楽でオーディエンスを一気に沸かせ、
ライブハウス一帯の熱をそのまま勢いに変えてゆく。

曲調が次第にガツガツと尖ってくる。



この時の目といったらたまらなかった。

それを目にする観客全員に向かって訴えかけるような圧と、
自身の意思を表すかのような芯の強さ、
その両方を兼ね揃えたあの目には、

炎が燃え盛っていた。


ズンズン響く低音に好きなだけ頭を振っていたわたしも、

ふとその目を見て、
引き込まれるように、全てを忘れるように、
ただただ見つめる瞬間があった。


しかも4人全員、目に宿す炎の色が、違うのだ。

それはまるで、テストに出たあの炎色反応のように。
みんながみんな違った色を放ち、輝いている。

あれがきっと、
YouTuberでもねえアイドルでもねえ、

そう、バンドマンだ。


バンドマンの「本気」が前に前にと押し出されたあの眼差しに、
どれほど勇気づけられたか。



ひとしきり飛んで跳ねて、
滲む汗をバンド名の刻まれたロングタオルで拭うと、

「休憩」という言葉を皮切りに、
会場に吹く風の流れが打って変わってゆっくりになる。


やさしい目。

まわりを見渡すと、観客もみなその目にすべてを預けるように、うっとりと見つめていた。


手元に目をやる彼らの目は、
漂う空気に音符をひとつひとつそっと置くような、丁寧で繊細な意識を含んだ目をしていて、

ボーカルは相も変わらず前を見据えていたけど、
包み込むような、そして時には弱さも滲ませるような、
じんわりと緊張をほぐすみたいな目が、ふたつ、きらきらとライトに照らされていた。

時折目をつぶって、鳴らしている彼ら自身も音に全てを委ねるようにしてみせたり、
あるいは観客をぐるっと時間をかけて見回して、終いには手元に目線を戻して微笑んだり。

「いっしょ」だなあって。
しあわせの感じ方が。
そんな安心感をおぼえた。



気づくと夢みたいな時間は終盤に差し掛かっていた。

我に返って、自分の口角がやんわり持ち上がっているのに気づく、でも逆らわない。


私にとって大切な大切なライブが幕を閉じる時、彼らはどんな目をしていただろうか。

なにかを求める目?
終わりを悲しむ目?

いいや違う。



自信に満ち満ちた目、

だ。



ヒジカタナオトのMCの自虐っぷりは相変わらずでした(笑)
むしろ増えてた。と思う。もう自身も悩んでしまうのだと零していた。


でもギターを抱えマイクに全てを寄せる彼の目には、
いや、音を鳴らす彼ら全員の目には、

自信の煌めくたしかな一筋の、光。


その目を見て私は思わず、涙ボッロボロでー。

涙は流してもハナはすすらない!って決めてたんだけどなあ!スンッスン言ってしまった。
でもそれも一瞬の出来事だった。すぐさま純粋な幸福感が上回り、ジュンワアーと笑顔が広がった。


とにかく彼らから湧き上がる自信が音を立てているのを見られたのが嬉しかった。

「いつでもおいで、支えてあげる」

そう言えるのは、でっかい心とでっかい自信があるからこそだ。

その境地に辿り着くまでたくさん藻掻いただろう。わたしには理解しきれない苦悩もあっただろう。
それでも乗り越えて、わたしたちの抱える弱さに手を差し伸べてくれる彼らは、
だれより弱くて、だれよりも強い。



MC中ヒジカタさんが、2019年を振り返ってこう言っていた。

「思うことがあるとぜんぶ、曲にするように意識してました」


そういうことだ。
だから彼らの音楽は見栄も虚勢もない、
純粋で素直な等身大なのだ。



10月に新譜「愛や優」が発売されてから1ヶ月強、

真ん中に人差し指をそっと入れてプレイヤーに乗せたあの盤が、
はじめて私にもたらしてくれた熱量、


彼らはそれを「生(ライブ)」で越える。

ドラマチックアラスカは間違いなくライブバンドだ。
ライブハウスこそ彼らの本領発揮のホームだ。

そしてわたしたちにとっても、ドラマチックアラスカのつくる空間は、ホームだ。


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最後にちょっとだけ、わたしの話。

.......本編も「ちょっぴり」とか言っておいて長すぎたな!(笑)
でもこれでも語りきれない、と。


わたしは今ある決意を胸に生きています。

ちょっと周りの友達とは違うところを見ている、と思う。

今年年度を改めた時、
ライブハウスから1度離れる予定を立てて、
.......どうすれば満足でしあわせになれるかなって。



迷わず「最後はドラマチックアラスカだ」って思いました。




ありがとうドラマチックアラスカ。

他じゃ見れない、最高で最強の姿を見ました。

高いお金を払ってもたった1度しか聴けないんだよね、なんて言っていたけれど、
そのたった1度だ。そこには価値しかなかった。

自分がドラマチックアラスカを選んだその選択を褒めたいとすら思った。

でもやっぱり心からの拍手を送るのは、わたしじゃなく当たり前に、ドラマチックアラスカだ。




最高のライブで「生」を届けてくれる彼らに、

予定調和でも手拍子でもなく、

手のひらを赤くするくらいの

できる限りの拍手を送りたい。


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