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新型コロナ後の子供達 スペイン風邪から学ぶ

前回に引き続き、RIETI(独立行政法人経済産業研究所)の記事をまとめてます。

4月13日更新の記事では、1918年のスペイン風邪の事例から感染拡大収束の自体を想定した議論をしています。


1918年春に北米と欧州で第一波の感染流行が発生したインフルエンザは、その後、1918年の秋に毒性を強めて1919年始めまで流行しました。人類史で記録に残った最古のインフルエンザによるパンデミックとされており、俗に「スペインかぜ」と呼ばれています。

「スペインかぜ」は約1年かけて全世界を揺るがしましたが、感染が収束したから影響が消えたわけではありません。感染流行時の赤ちゃん(胎児)のその後を調べると、母体の感染で健康上の影響を受けており、経済的にも影響を及ぼしたかもしれません。このことを示したのが2006年のAlmondの論文です。


重要事項ですが、「スペインかぜ」の死亡者の約半数が二十代と三十代であり、そのため妊婦の感染が高かったことなど状況が新型コロナとかなーーーーり違います。そこにご留意ください。


パンデミック下で生まれた子供たちのその後

アメリカの国勢調査を使って、「スペインかぜ」がアメリカで流行した1918年の秋から冬に生まれた子供達について追跡調査を行いました。

その結果、胎内でインフルエンザに暴露された子供達は、生まれた後も教育水準がその前後に生まれた人より低く、身体障害の発生率が高く、社会的・経済地位が低いことを示した。

さらに、「スペインかぜ」は家系内の資源配分に及ぼす影響も示されています。 パンデミックの時に、胎内の子供以外に年上の兄弟がいた場合、その年上の兄弟への資源配分が強化されて、年上の兄弟の学業成績が高くなったという結果が出ています、すなわち、兄弟間での格差が広がったのです。

この研究結果には、当時の時代背景(父親は第一次世界大戦で十分な教育を受けられていなかったので、パンデミック下で生まれた子供もその影響を受けていること)や、感染の影響を受けた家庭がそもそも社会的地位が低い家計だったことなどの批判もありますが、ある程度支持できる主張のようです。

再度注意を促しますが、「スペインかぜ」の死亡者の約半数が二十代と三十代であり、そのため妊婦の感染が高かったことなど状況が新型コロナとかなーーーーり違います。そこにご留意ください。


以下、胎児についてに限らず、「パンデミック下で起きたことで子供達がその後、社会地位的に影響を受けること」に注目して考えます。


新型コロナ後の子供達

1918年と2020年だと、医療研究も、衛生環境も、状況は全然違うところが多々あります。しかし、細かに検証すればいくつかの共通項は見いだすことができるかもしれません。

胎児の議論に限らず、特定の年齢層のその後に影響するような事態がすでに日本で起きています。学校の閉校と今後の経済不安です。

全国の小中学校はすでに2ヶ月以上閉校が続いており、子供たちの教育にかなりの影響を生じさせるでしょう。

一方で、親世代の経済的な先行きの不安(や給与の減少)は、2020年度以降の大学受験者、教育への投資(習い事など)の選択に影響を及ぼすでしょう。

そして、バブル崩壊以後10年以上、低学歴層の所得に悪影響を及ぼしたように、パンデミック後の低学歴層の就職についても悪影響が予測されます。

以上のように、過去の出来事からパンデミック収束後に予見されることを挙げることができます。
今回のパンデミックが特定の集団や世代に不利な条件を生み出さないようにしなければいけません。

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Kii - Lab@和歌山県日高郡
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