歌集『クジラを連れて』大引幾子 歌集を読む
この歌集には作者の20代から40代半ばまでの歌が収められている。
編年体なのであろう。
5章に分けられた1章と2章はいわゆる前衛短歌的な比喩でみずみずしい感情を歌う。その中で、2章になると、作者は子を産みそして教師を務める中での出来事が歌われる。詩のことばはすこしずつ自らの近くにあるものを見つめる目や手触りに変わっていく。
やがて3章、4章になると自らの生活に根ざしたうたが多くなり、
きらびやかなレトリックではなくその歌全体が詩の景としてうたわれる。
様々な出来事、作者の歌は