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国を守る自衛隊が語る、ひとりひとりの防災への意識 | 第5回内講(ゲスト:陸上自衛隊の手塚公徳さん)

9月25日(水)、いわき市総合保健福祉センターにて、第5回内講が開催されました。今回ゲストにお招きしたのは、自衛隊福島地方協力本部いわき地域事務所陸上自衛隊広報官手塚公徳さん。
 
普段、広報活動は上席の方が行うようですが、今回は内郷まちづくり市民会議のメンバーのひとりと面識があるということで、特別にお話していただきました。
 
開始前から制服をビシッと着こなし姿勢良く待機されている手塚さんの姿に、私たちもなぜか背筋が伸びます。いつもと違う大きな会場での開催ともあり、内郷まちづくり市民会議にしては珍しく?、いつもより少々かしこまった雰囲気のなか講義がスタートしました。

私たちの安全は身近な場所で守られいた

マイクを取った手塚さんは手始めに、「自衛隊の任務とはなにか知っていますか」と語りかけます。
 
「みなさんが目にするのは災害時で活躍する我々の姿なので、案外知らない人も多いのですが、自衛隊のいちばんの任務は、国の防衛です」

その言葉に、改めて命をかけて国を守ってくれているんだという頼もしさと、責任の重さが伝わります。災害派遣、国際平和・協力活動も自衛隊にとって欠かせない任務です。

手塚さんが所属する陸上自衛隊は、全国に約160カ所置かれているそうで、福島県には郡山市と福島市に駐屯地があります。どちらもいわきから離れた場所にあるので自衛隊の方は遠い存在だと思っていたのですが、実は、地方協力本部、通称「ちほん」と呼ばれる自衛隊の事務所がいわきにあったのです! 

自衛隊の任務を改めて知る機会となった

さらに驚いたことに、「内郷、常磐、小名浜など、自衛官それぞれに担当地区があり、普段は自衛隊の広報や自衛官の募集活動をしています。災害が発生したら、自治体と自衛隊の部隊の間に立ち、連絡調整などを行うんです。」と! いわば「ちほん」は私たち地域と自衛隊をつなぐ窓口。実は、身近なところで自衛隊の方々が私たちを影で見守ってくれていたのです。
 
次に紹介されたのは、災害派遣について。いつどこで起きるか分からない自然災害に備え、FAST-FORCEという初動対処部隊が全国各地で常に待機しているといいます。
 
「この勤務の間は、いつでもすぐ動けるようにしておかないといけません。この期間、お酒は一滴も口にできない。命令があったら、持ち物を点検して集合し、1時間以内に出発できるような体制を組んでいます」
 
その初動対処部隊が先に災害が発生した場所に向かい、被害を把握しその後の部隊に指示するという流れで災害派遣を行うそうです。
 
災害派遣された自衛隊の活動は多岐にわたります。人命救助や行方不明者の捜索に加え、生活支援、医療衛生支援、物資輸送、さらには心のケアとして音楽演奏も行います。大規模な災害で自衛隊の派遣が長期化した場合は、専門ボランティアが行うような家屋の応急処置や電力復旧、災害ゴミ破棄処理など、被災者のニーズに応えることもあるんだとか。

最後の砦が出動するのは、どんな時?

ここで去年の内郷の水害について話が上がりました。

「あの時、私はいわき市内の自宅にいて、テレビやYouTubeで町や川の様子を見ていました。でも、残念ながら自衛隊は派遣されないと思い、もどかしさがありました」
 
自衛隊の災害派遣にはいくつかの条件があるそうで、警察や消防が対応できない、多くの行方不明者が出ているなど、自衛隊が派遣される以外に手段がない場合のみ出動します。つまり、自衛隊は最後の砦というわけです。

講義の途中でも参加者から質問があがった

ここで、内郷まちづくり市民会議のメンバーでもあり、「ふくみちゃんカフェ」代表の馬目副住職から、「被災者の方から、自衛隊のお風呂は来てくれないのかという声があった。去年の水害では災害派遣はなかったので仕方ないとは思いますが、被災者は自衛隊の方を期待されていました」という声が上がりました。
 
命令が出ないと、個人の意思だけでは動くことができないという自衛隊ならではの体制にもどかしさを感じる意見です。しかし逆に、指示があれば徹底して任務を行ってくれるとも言えます。実際、参加者から、「東日本大震災のとき、車が通れないぐらい道路が隆起している現場にいました。自衛隊の方が驚くようなスピードで道路を整備されていて、自衛隊の方たちのすごさを感じた」といった話もありました。

それぞれが「もしも」に備える

手塚さん自身も、東日本大震災や台風19号の水害の際、現地に災害派遣されたそうです。最後の砦である自衛隊が出動するのは、被災者の方々にとっては良くないことと口にしながらも、「災害によって傷ついた町が少しずつ快方に向かっていく姿や、被災者の方に労いの言葉をかけてもらえる災害派遣は、やりがいがある」と話します。
 
これだけサポートをしてくれるんだという安心感はありますが、台風13号の水害のように必ずしも自衛隊が派遣されるとは限りません。だからこそ、ひとりひとりの防災の意識は大切です。
 
なにかあった時は、警察、消防、自衛隊のいずれかが3日以内に必ず助けに行きます。救助が来るまで、みなさん自分の命を守ってください」と手塚さんも呼びかけていました。 

熱心にメモをとる参加者も多く見られた

ここでスライドに映し出されのは、災害警戒レベル。警戒レベル1~5あるうち、警戒レベル4までに全員確実に避難を完了させなければいけません。つまり、警戒レベル5になってから避難するのでは手遅れというわけです。避難とは、「難を避けること」。手塚さんが挙げてくださった具体的な避難は以下の4つ。 

  1. 行政が指定した避難場所

  2. 安全なホテル、旅館

  3. 安全な親戚、知人宅

  4. 屋内安全確保

みなさんもここで改めて、警戒レベルと避難場所の確認し、「もしも」に備えておきましょう。最後に手塚さんから「内郷でこういった防災活動をされているのは、素晴らしいこと。さらなる情報発信を続けてほしい」とエールをいただきました! 

防災意識、向上中!

締めは、内講恒例になってきました、白熱の質問コーナー。普段関わりのない自衛隊の皆さんに質問できる機会とあって、次から次へと手が上がります。
 
「自衛隊の定年は、以前は53歳だったが、最近は伸びている」
「備蓄は、最低でも3日分の水があればいい。それまでに救助が向かう」
「自宅の防災グッズは、趣味のキャンプ用品。食料、水、ガスの備蓄は常備している」

などなど、時にはメンバーからの直球すぎる質問にたじたじになりながらも、ここには書けない自衛隊の裏話まで教えてくださいました!(手塚さん、私たちの押しが強くてすみませんでした!!)

貴重な自衛隊グッズに参加者も大興奮!

  ここで、自衛隊の方が学生や企業向けに防災学習をされている話になると、すかさずメンバーから「私たち内郷まちづくり市民会議でもやってもらうことはできるんですか?」と質問が。手塚さんからYESの返事があると、「今度改めて自衛隊の方をお呼びして、防災学習を開催することにしましょう」という声が上がり、四倉会長も二つ返事で答えました。

ここまで毎月内講を重ね、防災への意識が高まっているということもあってか、メンバーそれぞれに「防災アンテナ」が立っているようです。なんとうれしい変化でしょうか! 
 
講義終了後、自衛隊の方が担がれているリュックの中身をじっくりと見せていただきました。手塚さんに解説いただきながら、食料や雨具などを実際に手にとってみたり、リュックを背負い記念撮影する人やマニアックに長くつのタグを見る人など、みなさん興味津々な様子。締めくくりは、自衛隊式に手塚さんのかけ声で「敬礼、なおれっ!」とビシッと決め、謎の一体感が生まれて(?)お開きとなりました。
 
今回改めて、命をかけて国を守る自衛隊の方々の活動を知り、頭が上がらない思いになりました。お忙しいなかお越しいただいた手塚さん、ありがとうございました!

私たちもある意味で「内郷」を守る活動をしているということで、自衛隊の方に負けないよう、今後も真面目に楽しく、私たちらしく活動を続けていきたいと思います!


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