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防災士から学ぶ「内郷」の防災 | 第4回内講(ゲスト:防災士の菅野昭夫さん)

8月28(水)、第4回「内講」が開催されました。今回のゲストは、防災士であり、内郷内町自主防災会の防災部長でもある菅野昭夫さん。内町にある菅野さんのご自宅も、去年の台風13号による水害で被災しています。

講義では、防災士を目指したきっかけから、内町での防災への取り組み、台風13号の被害状況、さらには内郷の地質や炭鉱の歴史についてまで、大変ためになるお話をたっぷりとしていただきました。
 
今回の会場は、内郷まちづくり市民会議が毎週会議を行っている内郷公民館。私たちメンバーのほか、以前内講にいらしてくださった方の姿も見られました。参加者は15名ほど。「あまり人が多くいても緊張しちゃうからちょうどいいな」と、アットホームな雰囲気のなか講義が始まりました。

参加者も真剣に耳を傾ける場となりました

防災士への歩み

レクチャーは、まず自己紹介からスタート。福島県の北部にある川俣町で生まれた菅野さんは、40年以上地質調査の仕事をしてきました。調査の依頼があり、常磐炭鉱が閉山した昭和46(1971)年にいわきへ移住。退職後は、興味のあった常磐炭田のヘリテージガイドとして活動されています。
 
平成7(1995)年に起きた阪神・淡路大震災の被害をテレビで目の当たりにした菅野さんは、全身が震えるほどの恐怖を感じます。その出来事をきっかけに「防災」への意識が芽生え、平成18(2006)年に防災士の資格を取得されたそうです。
 
皆さん、防災士とはなにかご存知でしょうか? 阪神・淡路大震災をきっかけに、防災や減災の知識や技能を身につけた人を育成することを目的に、日本防災士機構がはじめた制度です。養成研修講座を受けて、試験を合格すれば資格を得ることができます。

防災士になることを力説する菅野さん

まさに、防災のまちづくりに取り組む私たちにふさわしい資格ではありませんか! 菅野さんも「将来必ず役に立つと思って取得した。災害はいつどこで起きるかわからない。とても勉強になるから、みなさんもぜひ取っていただきたい!」と強く推薦しています。

当時の菅野さんは自腹で受講したそうですが、なんと現在はいわき市が費用を負担してくれるので、無料で取得できるんだとか。これはまたとないチャンスです!

すでに始まっていた、内町の防災!

そして、話題は台風13号水害に。菅野さんの住む内町も大きな水害の被害を受けました。現在のご自宅を建てるとき水害を見越して、地上から1m40cmぐらいまでかさ上げしたにもかかわらず、玄関先まで水が迫り床下浸水してしまったそうです。
 
実は、台風13号の被害に遭う以前から、菅野さんは内郷内町自主防災会の防災部長も務めており、自分が住む町の防災についての活動を積極的に行っていたといいます。

独自の防災マップを見ながら、菅野さんの話に耳を傾けます
熱心に話に耳を傾け、メモを取る参加者

内町に住む有志の住民により結成された防災会は、市内の数ある防災会のなかでも特に活動が盛んなようで、防災ワークショップ、運動会ならぬ防災を学ぶ「運防会」の開催、車で地区を回り呼びかけを行うなど、有志の方々がアイディアを出し合い、町の防災に取り組んでいるそうです。どれも私たちの参考になる活動ばかりでした。

さらに驚いたことに、第2回内講のゲストで来ていただいた下平窪地区「平31区」の皆さんが手作りした防災マップと同じように、福島高専の菊地先生に協力してもらい、学生とともにまちあるきをしながら内町2区のマップを手作りしたんだとか! 

配られた内町の手作りマップには、台風の水害により浸水した町の様子や危険箇所の写真が掲載され、水の流れや想定の浸水エリアなどが細かく書かれています。2区のマップをモデルとし、今後は内町1~6区まですべてのマップを制作していく予定だとか。

まちづくり市民会議の四ツ倉会長もマップを入念にチェック

これほど積極的な「防災のまちづくり」の活動が、内郷ですでに行われていたとは知らず、反省……。しかし、反省ばかりしていられません! 逆に言えば、すでに活動されている経験者から学べることはたくさんあります。

ディープな内郷話に目から鱗!

講義のなかで、菅野さんは何度も「防災」の大切さを語っていました。

「最近、台風がいくつもやってきましたね。いわき市も去年の教訓から、早めに避難指示を発令してました。結局、台風は来なかった。そしたら、あるマスコミが避難指示の発令が早すぎだったのでは? と報道したらしい。早めでいいんです。なにか起きた後では遅いんです。その意識は持ってないといけない」

自分が住む町で起きた悲惨な水害を目の当たりにし、被災した菅野さんが語るからこそ強い説得力があります。

被災直後の様子。避難所だった内郷二中の体育館も被災しました

最後は、質問コーナー。「水害を受けて、今後どんなまちづくりをしていきますか?」と、真面目に水害の質問から始まったかと思えば、いつしか話は逸れていき、炭鉱や内郷の地質の話題に。

「約2万年前は、内郷地区まで太平洋の海だった。地質調査をすると貝の化石が出てくる」
「内郷一中あたりは、かつて炭鉱の運搬用のトンネルや線路があった」
「日立からいわきまでの高速道路は、地盤沈下の対策のため鉄筋コンクリートが敷かれている」

などなど、現役ヘリテージガイドの巧みな話術で、内郷住民にはたまらないディープな話が止まりません! 

参加者のみなさんも「えー!そうだったの!?」「知らなかった~!」「それはおもしろい!」と目から鱗状態。地層や町の歴史の話だけでこんなに盛り上がれる町がほかにあるでしょうか? それだけみなさんが内郷という町を愛している証拠。予定時間を過ぎても質問が止まらず、会場はこの日いちばんの盛り上がりを見せていました。

四ツ倉会長からあいさつ

締めのあいさつは、まちづくり市民会議の四ツ倉会長から。「宮川と新川の河川改修工事には約30年かかると言われています。ハード面は自治体に任せて、我々は、菅野さんが取り組まれているようなソフト面をやることが大事だと思う」と、改めて防災のまちづくりへの意気込みを語りました。
 
今回は、内町の防災に取り組む菅野さんから「防災のまちづくり」のヒントをたくさんいただき、積極的な活動に私たちも大変刺激を受けました! 貴重なお話をしていただいた菅野さん、ありがとうございました。私たちも今後、毎週行っている会議だけでなく、まちあるきや聞き取りなどの課外活動にもより力を入れていきたいと思います!

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