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I.G.U.P 検討委員会レポートvol.11 レゴブロックでスタジアムのあるいわきをつくってみよう

11月25日になりますが、I.G.U.Pが主催して、第3回ユースフォーラムが開催されました。これまでの2回はファシリテーターを招いての「ワークショップ」形式で若い世代の声を集めてきましたが、今回はよりクリエイティブにスタジアムのあるいわきを考えてみようということで、LEGO®︎とのコラボ企画となりました。

集まった50名の参加者は、グループでおしゃべりや対話をしながら、LEGO®︎ブロックを使っていわきでの思い出、いわきのすばらしいところをカタチにしていきます。それをピッチの周りに置いてみると・・・さあ、どんなスタジアムが生まれたのでしょうか。I.G.U.Pメンバーの小松理虔が当日の模様をレポートしていきます。

レゴブロックでどんなスタジアムができるのか!

誰もが触れたことがあるLEGO®︎で、いわきFCの新スタジアムを作ったらどうなるだろう。夢のある企画に参加してくれたのは、社会人から小学生までのおよそ50名。過去のユースフォーラムに続いて参加してくれた方もいれば今回が初めてという人も。会場の熱気に今回のワークショップに対する注目の高さが伺えます。

講師を務めたのは、宮城県仙台市でレゴスクールを運営する伊藤宏明さん。短時間で区切って頭の中のイメージを表現しながら互いに質問し合うという形式なので、とてもクリエイティブで対話的です。こうした取り組みは企業のプロジェクトでも活用されていて、思いもよらなかったアイデアも生み出されるといいます。

講師を務めていただいた伊藤さん
I.G.U.Pの上林座長もこの通りの笑顔

まず最初に取り組むのが自己紹介。みんなに1個ずつ白い卵が手渡されました。開けてみると、その中には黄色と赤のブロックが入っています。それを使って自由にアヒルを作ってみようというのが最初のミッション。

形も組み合わせ方も違う、みんなそれぞれのアヒルができあがっていきました。お互いに自分のアヒルを紹介し合うので、自然とメンバー同士のおしゃべりが進みます。「今日はこの人たちと対話していくんだな」という接点つくる。はじめましてから仲間になっていく。そんな時間になっていました。

それぞれのアヒルをつくるところからスタート
創造と想像を重ね合わせていく時間

その後、目の前にあるブロックの山から7ピースだけ選んで好きなカタチを作ってみたり、それをもとに自分を語る時間があったり、じっくり40分ほどかけて対話と創造の時間が作られました。創造力を発揮するために、リラックスできる空気感を作っていくんだという狙いが感じられました。

さらにここから、全体を「うみ」「やま」「まち」の3つのグループに分け、さらにそれぞれ2班ずつ、合計6班に分かれて、5分ずつ、「自分の好きなこと」や「いわきで楽しい場所」について考え、それをブロックを使ってカタチにしていくというミッションに入ります。

印象的だったのは、大人と子どものスピード感、取り組む姿勢です。大人はまず何をつくるのか具体的にイメージしてから作業に入るのに対し、子どもたちはほとんど全員、手が先に動く。子どもは触りながら組み立てる感じです。大人は考える時間が長すぎて、ようやく組み立てに入ったころにはタイムオーバーになってしまう、なんて場面が散見されました。

集中する子どもたちの創作力はものすごいものがあります
大倉代表も子どもたちの想像力に驚嘆していました

そのあと、いわきの「あったらいいな」をみんなで考えながら、それをブロックで形にしていき、これまでに完成した作品を一気に集め、先ほど分けた「うみ」「やま」「まち」の三つのカテゴリごとにテーブルに置いていきます。そして最後に、みんなで相談しながら、ピッチ(芝)の場所を決め、その周りに作品を置いていきました。

現場で見ていましたが、個々の作品が集合したときに感じられる「おおおおお」という興奮は相当なものがありました。まちが本当にでき上がっていくように感じられるんです。スタジアム単体で存在しているのではなく、まちの一部としてあるんだということがはっきりとイメージできました。

こちらは「やま」グループ。作品がつながるとイメージが湧いてきます
作品の中にピッチを置くと、一気にスタジアム感が増します

みんながそれぞれ自分の思いを入れて作品を作っているので、スタジアムを取り巻く要素が複雑で多様になります。いわきの海を感じさせるもの、ハワイを感じさせるもの、あるいは、まちなかに必要なもの。いろいろなものが、まるで「生態系」を形づくるようにして設置されています。若い世代、子どもたちの豊かな想像力、とてもすばらしいです。

こちらは「うみ」のスタジアム

I.G.U.Pの事務局スタッフである渡邉佳奈絵さんは、「まちなか」のグループに入っていたのですが、渡邉さんからこんなレポートも届いています。

笑顔で参加する渡邉さん

2時間という短い時間でしたが、徐々に自分の意見を伝えること、人の話を聞くことが上手になってると感じました。特に人の話を聞く時にウンウンと頷きながら聴いたり、ニコニコ笑いながら聴くようになっていました。最初の方はみんなカチコチで、体も表情も動いてなかったです(笑)

どの子も制限時間のギリギリまで一生懸命レゴの作品を作っていました。また、作業の途中で、これはスタジアムの近くにつくりたいとか、スタジアムができたらこうしたいといった話も自然に出てきていて、子どもたちにとっても「もしスタジアムがいわきにできたら~」というのは大きなニュースなんだと思いました。

ピンクの下地の上に置かれているのは、「まち」グループのスタジアム

渡邉さんが言うとおり、「もしスタジアムがいわきにできたら」というトピックは、まちについて考えるうえで重要かつわかりやすい「フック」になります。スタジアムについて考えることが、いわき・双葉郡の将来について考えることにもなるということです。

ここで出てきたアイディアは、その場限りで終わりになるわけではありません。今回つくられた「ブロックのまち」は、I.G.U.Pの座長である上林先生のゼミに所属する学生がすべて撮影してくれていますし、子どもたちが作品につけた名前もすべてリスト化されており、どのようなスタジアムを子どもたちが望んでいるのかを分析して議論することになります。

学生に指示出しする上林先生、すごいなあ、めちゃくちゃいいなあとつぶやきながら写真を撮っていました。まさかこんなに盛り上がるとは思わなかったというのが本音のようです。そして、「子どもたちと対話的に議論しながらアイディアを練っていくスタジアムなんて他にないのでは?」とも。

私たちI.G.U.Pが続けてきた、この「子どもたちとの対話」というスタイルこそ、じつはいわきならではのものなのかもしれないし、スタジアムができたあとも続けていくべきことなのかもしれません。

I.G.U.Pの菅波さん。一緒に体験するからこそ、議論にも反映できる

委員それぞれに「理想のスタジアム」があるとは思います。それだけを材料に議論するのではなく、子どもたちが出してくれたアイディアや言葉を、いかにそこに組み込んでいくのか。今年の検討会も残り少なくなってきています。どのようなビジョンとして文章化すればいいのか。子どもたちの想像力や言葉を、議論に役立てなければなりません。

私も娘と一緒に参加していたのですが、めちゃくちゃ面白かった。それだけに、今日の議論、みんなの想像力をしっかりと議論に組み込み、ビジョンの策定に役立てていかなければと気合を入れ直すフォーラムとなりました。

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