文化人物録89(演出家・振付家・劇作家・矢内原美邦)
89 #矢内原美邦 (#演出家、#振付家、#劇作家)
→1971年愛媛県生まれ。#ニブロール 主宰。大阪体育大学で舞踊を専攻、在学中にNHK賞、特別賞など。ミクニヤナイハラプロジェクトで演劇に挑戦し、ジャンルを問わないその活動はニブロールのみならず、多数のアーティストとコラボレーションするなど世界中を舞台に活躍。
2002年「ランコントル・コレグラフィック・アンテルナショナル・ドゥ・セーヌ・サン・ドニ(旧バニョレ国際振付賞)ナショナル協議員賞」受賞。2007年 第1回日本ダンスフォーラム賞優秀賞受賞。2010年 シェイクスピア・コンペ優秀賞受賞『前向き!タイモン』。2012年 第56回 #岸田國士戯曲賞 受賞『前向き!タイモン』など。
矢内原さんの #舞踊 、#演劇 分野における広範な活動ぶりは傍から拝見していたが、僕が音楽担当の時に初めて #オペラ 演出を手がけた。
歌を主眼とするオペラと演技や身体表現を主眼とする演劇は似て非なるもので、両分野の行き来は簡単そうに見えてそう簡単でないが、矢内原さんは自分の持ち味である身体表現をオペラに持ち込み、新たな #舞台芸術 を作り上げようとしていた。
その後なかなかオペラをやる機会はないようだが、舞台芸術全般での活躍を是非今後も見てみたい。
* #東京芸術劇場 ヴェルディ「#ラトラヴィアータ(#椿姫)」制作発表(2019年)
(矢内原)今回の作品は普通のオペラではなく、現代から未来につながるオペラを目指したい。
(アルフレード役:宮里直樹)
(ジェルモン役:三浦克次)
Q現代につながるオペラとは?
(矢内原)演出に当たって戯曲を読み込み、ヴィオレッタは衣装も高級娼婦という縛られたものを外していった一方、フローラはどっぷりつかっていった。私はどちらも正しいと思う。道を踏み外した女というのがタイトルだが、それぞれが正しい。女性の強さは表現したい。原作や楽譜通りに行くこともあれば、裏側もある。観る人によって違うのではないか。
Q全国共同制作のオペラ、アイデアはどのように出した?
(矢内原)映像をふんだんに使うようにした。演出はモノクローム照明で、どこでも白黒に見える。セット自体固定しないで自由に動かす。踊りますか?という問いについては答えないことにしました。ビックリするような動きはあると思います。後者はダンサーで身体表現もたくさんあると思います。(ダンサーの)出番が少ないということは、どの出演者にもないです。
Q時代設定は?
(矢内原)パリではないです。現代ですが2020年ではありません。人によっては未来にも見えるかもしれません。
Q映像はどう使う?
(矢内原)映像は高橋啓祐さんを起用します。(私が主宰する)ニブロールというカンパニーは面白く、すごく映像として新鮮になると思います。水と可否とか抽象的なものでありながら、具体的な映像サンプルができました。スクリーンが動いたりします。
Q俳優やダンサーの使い方は?
(矢内原)鏡を使った演出、宴会のシーンなどいろいろあります。
Qオペラ演出は初めて。難しい点は?
(矢内原)音楽に関しては完全にお任せしています。ただ、それプラス今までにない表現を求めることはあると思います。自分のできる演出を提供したいです。私は小劇場出身ですので普段はずっと稽古をしています。今回はそれに比べると稽古時間が少ないですが、できることをやっていきたいです。