ジャズテナーならこれを聴け(ジャズ批評2021.05)
【1】 ポートレイト/スタン・ゲッツ・カルテット/91 JAZZ VINTAGE SERIES/1969年
【音色】 柔
【歌心】 ★★★★★
【テクニック】 ★★★★
【即興性】 ★★★★
今年2月に惜しくも亡くなったチック・コリアはマイルス・デイヴィスのグループで活躍した後にリターン・トゥ・フォーエバーを結成するが、その間に短期間ながら、ゲッツのグループにも参加していた。ゲッツの歌心と美しいメロディラインはボサノヴァをやろうがチックと共演しようが、まるでブレがない。
【2】 イースト・ウインド/菊地雅章/EAST WIND/1974年
テナー奏者:峰厚介
【音色】 硬
【歌心】 ★★★★
【テクニック】 ★★★★
【即興性】 ★★★★★
米国で大活躍していた菊地雅章が日本ツアーの合間を縫ってレコーディングした作品で、サイドマンとして日野皓正や峰厚介ら豪華メンバーが参加。まるでライブのような圧倒的な熱狂の渦が聴く者に押し寄せる。菊地や日野皓正と丁々発止の熱演を繰り広げる峰の重厚かつ濃密なサウンドは必聴だ。
【3】 アルバート・アイラー・トリオ/スピリチュアル・ユニティ/ESP-DISK/1964年
テナー奏者:
【音色】 硬
【歌心】 ★★★★
【テクニック】 ★★★★★
【即興性】 ★★★★★
アルバート・アイラーという名前だけで「フリージャズかよ」と毛嫌いする人も多いが、この際フリージャズかどうかは頭から取っ払い、彼が生み出す音の宇宙にひたすら身をゆだねてほしい。すさまじいパフォーマンスに必死でついていく共演のチャーリー・ヘイデンとサニー・マレイも最高。
【4】 ソニースティット&ジャック・マクダフ/ソニー・スティット・ミーツ・ブラザー・ジャック/PRESTIGE/1962年
テナー奏者:
【音色】 中
【歌心】 ★★★★★
【テクニック】 ★★★★
【即興性】 ★★★★
ビバップ・ハードバップ期を代表するアルト・サックス奏者でありながら、チャーリー・パーカーと比較されることを嫌い、テナーを吹くことも多かったというスティット。本作でもテナーを吹いているが、まるで「他人との比較なんて関係ない」と言わんばかりのブルージーで自信に溢れた演奏が楽しめる。
【5】 ベン・ウェンデル/ホワット・ウイ・ブリング/CORE PORT/2014年
テナー奏者:
【音色】 中
【歌心】 ★★★★
【テクニック】 ★★★★★
【即興性】 ★★★★
現代ジャズを代表するサックス奏者による今作は、ピアノのジェラルド・クレイトンをはじめ、最前線で活躍する名手が顔をそろえた。正統派ジャズからフュージョン、クラシック、ロック、ヒップホップまで幅広い音楽の影響が感じられ、それらをしっかり音に具現化しているのがよく分かる。
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