文化人物録22(前田吟)
前田吟(俳優、2014年)
→言わずと知れた日本を代表する名バイプレイヤー。「男はつらいよ」や「渡る世間は鬼ばかり」など国民的なドラマや映画にも多数出演し、僕のような1980年前後生まれのかなり下の世代にも広く親しまれる存在だ。前田さんの場合、人のよさが画面から自然とあふれ出ていて、見ているだけで思わず微笑んでしまう。奥様を亡くした後、70代後半にして再婚したことでも話題になった。
*林隆三さん死去について
・俳優座15期生は私の他に原田芳雄、夏八木勲、地井武男などがいたが、林隆三もその一人。最近亡くなる人が多く、本当に寂しい限り。僕は林さんとは50年近い付き合いだったが、彼は僕と違って都会的だった。彼の書斎・アトリエにはピアノがあって、俳優座養成所の頃から歌もピアノも上手かった。俳優一本の僕とは違い、いろんな才能を持っている人だった。
・3年ほど前、2人で北海道の旭岳に登ったことがあった。その時も林さんは健脚で、「なんだ、お前もうバテたのか」と言われた。テレビ番組の仕事で2泊3日くらいだったと思うが、一緒に飲んで話して、いい旅だった。
・林隆三はいい男だった。仲間うちではリュッコと呼んでいたが人間的狡さは全くなく、素直な人柄で人間的にもいろんな人に好かれていたと思います。役柄としても都会的でスマートな役が多かった。僕は彼と同じドラマや映画に出たことはあるが、画面で一緒になったことはない。1回だけ舞台で一緒になるチャンスがあったのだが、僕が断ってしまった。最後に話したのは2013年。その時はまだ元気だったが・・・。
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