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文化人物録75(いとうせいこう)

いとうせいこう(作家、ラッパー、クリエーター)
→1961年東京都生まれ。84年早稲田大学法学部卒業後、講談社で編集者。86年に独立し、作家、クリエーターとして活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。日本にヒップホップカルチャーを広めた日本語ラップの第一人者とされる。

アルバム『建設的』(1986年)にてCDデビュー。その後『MESS/AGE』(1989年)、アルバム『OLEDESM』(1992年)、『カザアナ』(2008年)など。著書に小説『ノーライフキング』エッセイ集『ボタニカル・ライフ』(第15回講談社エッセイ賞受賞)『想像ラジオ』(第35回野間文芸新人賞受賞)『存在しない小説』『鼻に挟み撃ち他三編』『我々の恋愛』など。

多彩なクリエーター、アーティストとして、僕の中から昔からいとうせいこうさんの存在は絶大だった。長年テレビに出続けているのでタレント的なイメージが強いかもしれないが、ライムスターの宇多丸さんと並ぶ日本語ラップ・ヒップホップの先駆けというものすごい実績がある。そして幼少時、いとこがいとうさんの小説「ノーライフキング」を激賞していたのを見て読み、すっかり僕も好きになってしまった。今読んでも古さを感じさせず、時代のはるか先を行っていた小説だったと感じる。

僕が文化部在籍時にはちょうどいとうさんの「想像ラジオ」が久々の小説で話題になった。子供の頃からの憧れの一人であるいとうさんがこの時期に小説を出し、また本人とお話しする機会が生まれたことに対し、勝手に運命めいたものを感じた。

*「想像ラジオ」について(2013年)
・想像ラジオは僕にとって特別な作品です。東日本大震災のことを書けたということが大きい。この作品は僕が被災地で「この木に引っかかって亡くなった人がいる」という話を聞いて書こうと思った。

・この数年は小説を書けないと言い続けていたが、そういう沈黙のもとで書くことができた。僕はこれからも、言語学者ソシュールの「おはようと言って起きるのはお休みと言って寝たから」という言葉を大事にしたいと思います。

・作品は新人対象の賞の候補にもなったが、僕は新人という割にはすでにキャリアもあり、新人とはいえないかもしれない。が、僕の中の新しい人が書けと言っているという意味では、ある意味新人なのかもしれない。

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