文化人物録45(黄帝心仙人)
黄帝心仙人(こうていせんにん、ダンサー・振付師、ダンスアーティスト、2018年)
→ダンサー、振付師として国内外で引く手あまたの存在。ご本人は「ダンスアーティスト」という呼称を使っているようだが、それは彼のパフォーマンスを観ればわかる。ダンスがまさにアートなのである。非常に細かな身体の動きが重ねられて一連の動きができていて、とにかくすごい。さらにアートでありながらエンターテイメントでもある。ユーチューブはじめ各種SNSが広まった今の時代、黄帝心仙人さんのようなアーティストはますます世界に飛翔するだろう。
*「ダンス・ダンス・アジア」の舞台「宇宙」について。脚本を担当した放送作家の鈴木おさむさんと
(黄帝)宇宙というテーマというよりは、不思議な動きがテーマという感じです。ロボットダンス、アニメーションダンス、宇宙空間にマッチする宇宙ステーションでのダンスを作ろうとしていた時に、ちょうどこのオファーがあった。これを舞台にしたいと思いました。通常、物語の台本は僕が書くのですが、今回は鈴木おさむさんにお願いしました。
(鈴木)もともとテレビ番組で黄帝心仙人さんのことは知っていましたが、ダンスに脚本、物語を作るという点にインスピレーションを受けていた。こういうあまり世の中にないものをわかりやすく表現したい、何かを見せたいと思っていた時、宇宙という話があった。
(黄帝)宇宙というテーマを掲げて2人でアイデアを出し合いました。あらすじをまとめてもらってから詳細なストーリーをいただき、ダンスやマイムにしていきました。スピリチュアルな要素ではなく、あくまでも動きが主体ですね。自分でしかできないと思いました。どこでも誰でもわかるものにしたいと。
(鈴木)僕はあまりアジアというのは意識せずに、脚本というよりは小説のような感じで。プロットとか物語をしっかり作りました。リハを見て自分自身のマイム的な表現に驚いた。ダンスの中のエンタメ部分ですね。
(黄帝)宇宙では体が浮くわけで、テーマがこそに沿っていった感じです。チェスをしながら浮くとか。普通の生活の要素に浮くことが入っているのでそのままを表現した。
(鈴木)ゼログラビティ、映画・インターステラーの世界。宇宙が分からないからこそ面白いですね。わからないからこそ表現できる。少年の心がわくわくするような感じですね。
(黄帝)宇宙は子孫繁栄、性行為ができない。宇宙空間でのセックスシーンとか。絶対あり得ないものは面白い。2001年宇宙の旅は意識しました。キューブリックの世界とは全く違いますが、アートディレクションのセンスをもらいたいと思いました。音楽にもこだわっています。
ダンサーは選ばれたメンバーからピックアップしている。アジアのダンサーは日本人とは全然違う。日韓はアジアの中では抜けていると思いますが、抜けている中で(ほかのアジアの国のダンサーが)こっちに来ると結構なメンバーになる。原始的な動き山の取り方など、現地の踊りをベースにしたものもありました。表情が違って面白い。
昔に比べてスケールも大きくなりました。舞台稽古、マイムなどをやるとアニメーションの表現なども出てくる。オーディションを勝ち抜くための一発芸というか、表現で目をひくものがある。これらの表現をマイムやダンスと融合することによって、舞台での表現の幅を広げたい。舞台を経験したダンサーから成功者が出てほしいですね。