文化人物録50(櫻井哲夫)
櫻井哲夫(ベーシスト、元カシオペア、2015年)
→日本を代表するベーシストの1人。フュージョン界において一時代を築いたカシオペアでの活躍は今更言うまでもないが、同じくカシオペアメンバーだったドラマ―の神保彰との活動、さらにポピュラー系の有名ミュージシャンとの共演など常に第一線でベースを弾き続けている。
櫻井さんのベースはビート感、重厚感がありつつ、人をやさしく包むような安心感もある。だからこそ今に至るまで、各方面から引く手あまたの存在なのだろう。
お話を聞いた時も本当に率直かつきどったところがなく、面白い話にどんどん引き込まれたのを覚えている。
*アルバム「Nothin’ but the Bass」
・このアルバムは亀田誠治さんのプロデュースですが、亀田さんはベーシストとして、カシオペアの影響を受けてきたらしいです。JPOPでこれだけ活躍している彼のことはあまり知らなかったですが、亀田さんも参加していた椎名林檎のバンドを見た時、カッコいいなと思いました。彼はベーシストの中でもアレンジやプロデュース能力がすごくある人だとです。JUJUのアルバムも素晴らしいと思っていたら、たまたまJWAVEの番組ですれ違って初めて亀田さんと会いました。その後35周年ライブにも来てもらって、何か一緒にやりたいねと。そこで今回のアルバムではアレンジをお願いしました。
・亀田さんは今回、自分のアルバムとしては初めて立てたプロデューサーの立場ですが、今でも僕のファンでいてくれている。だから自分の良さを引き出してくれます。ベーシストとしては1曲だけやってもらった。亀田さんのよさは、椎名林檎やJUJUの作品にもあるように、カッコいいだけでなくビート感や情熱が感じられる。亀田節とでもいう、エネルギッシュでパワフル。それでいてメロディーは最大限に生かす。努力家でありポジティブですね。自分の中では、亀田さんとは競争し合うタイプではなく、共感しあう立場だと思います。
・亀田さんにプロデュースをお願いしてから一つ決めていたことがあります。それがジャコ・パストリアスのトリビュートです。オリジナルアルバムにしようと思いましたが、もう一回かバーカルバムにしようと。それも多くの人が知っているポピュラーなものにしようとなった。それも亀田さんの親心というか、櫻井哲夫を生かしたいということだったんですよね。自分の色は出せたと思います。完全にメロディ、ベースのメロディ。芯のあるアルバムになりました。
・2014年でデビュー35周年を迎えましたが、途切れず活動できていることに感謝です。メンバーとのこと、出会いと別れなどいろいろあったけど、ゲストはじめ、人との共同作業のおかげ。今回は亀田さんのおかげでアルバムができた。いつもセルフジャッジで監督やコーチがいなかったけど、初めてプレイヤーに徹することができた。これは大きな出来事でした。