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歩く前に走れ : Boston Dynamics創業者 マーク・レイバート
普段投稿しているジャンルと全然違いますが、YouTubeにマーク・レイバートさんのインタビュー(レックス・フリードマンさんがホスト)がアップされていたので、気になった内容を紹介したいと思います。
マーク・レイバート(Marc Raibert)さんは、"BigDog"などのロボット開発で有名なBoston Dynamicsの創業者兼会長です。
"BigDog"については、一度は見たことのある人も多いと思いますが、以下に実際のロボットの動作動画がありますので、ご参考までに。
動物のような動き
Boston Dynamicsの開発したロボットは、多くのロボットと違い、飛んだり跳ねたり転んだりします。
そのようなロボットを開発するに至った経緯を、以下の動画にて語っています。
その昔マークさんが、「生物の足移動」に関する学会に出席した際に、研究の一つとして六本足のロボットのデモが行われていましたが、そのロボットはとてもゆっくり移動するものだったそうです。
そのロボットの動作を見て、マークさんは直感的に「これは間違っている」と違和感を覚え、「そのロボットと反対のことをやろう」と思ったそうです。
上記の出来事がキッカケで、「跳躍するロボット」の研究を始めたとのことですが、その研究を始めてから、最初に感じた違和感の正体が分かりました。
それはそのロボットが、実際の人や動物らしくない、よく制御された動きをしていたからです。
実は人や動物は、実際には適当に飛んだり跳ねたりして、その都度予測やフィードバックを繰り返す、危なっかしい動作が基本のため、ゆっくり制御された動きをするロボットに違和感を感じたのでした。
歩く前に走れ
上記の話題とも共通しますが、マークさんはBoston Dynamicsの開発するロボットについて、以下の動画にて語っています。
その中で面白いと思ったのは、Boston Dynamicsの立ち上げ当初の研究・開発のモットーでした。
それは"You have to run before you can walk"というものです。
「走る」という動作は、動きは速いですが、体が宙に浮いたり、着地の際にバランスを取るなど、不確定な要素が多いです。
一方「歩く」という動作は、次の動作への予測が立てやすく、確実に進むことができますが、動きは遅いです。
その予測可能だが動きの遅いものに、リソースを使うくらいなら、予測困難でも速く動き、ひたすらトライ・アンド・エラーを繰り返す方が、長期的に見れば無駄のない開発になる、というのが上記のモットーの意味です。
正直ロボット本体は、決して安くはないものなので、慎重に動かしたい気持ちも分かりますが、そうではなく激しく動かして壊れたら直せば良い、くらいの気持ちで開発しているのが、Boston Dynamicsの凄いところですね。
ロボットにイジワルする
Boston Dynamicsを有名にした要因として、ロボットを蹴っ飛ばしたり、棒で押して進行の邪魔をしたりしている、YouTubeでの動画が挙げられます。
以下の動画では、その動画を作成した経緯を語っています。
マークさんは当初、「跳躍するロボット」のジャンプする動画を公開していましたが、正直つまらなかったそうです。
ただ、そのロボットが転んだり上手く動作しない動画を追加したところ、「ロボットってこう動くんだ」と称賛されたそうです。
このことから、成功したものと失敗したものの両方を見せることで、「システムの限界を提示する」ことが重要だと気付きました。
そのシステムの限界を端的に表現するために、Boston Dynamicsのロボット紹介動画には、意図的にロボットを蹴ったり、進行を邪魔したりする箇所が追加されるようになったとのことです。
ただ、「ロボットが可哀想」などのネガティブな反応も同時に受けるようになったとのことですが、実際はその反応も、動画がバズる要因の一つだったと思われます。
まとめ
本記事では、Boston Dynamics創業者兼会長の、マーク・レイバートさんのインタビューについて、個人的に気になった話題を紹介しました。
長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。