日比野克彦さんの講評が居合斬りのごとく切れ味抜群だった
日比野克彦さんに自身の作品を講評していただける機会があり、その集まりに参加。日比野さんの講評は非常に的確で鋭く、とても勉強になりました。
ダンボールアートの先駆者でもある日比野克彦さん
日比野克彦さんは岐阜県岐阜市出身のアーティスト。ウィキペディアによると現代美術家であり、東京芸術大学美術学部先端芸術表現科教授、岐阜県美術館館長など、様々な役職を兼務されています。
メディアにもよく出ていた方ですし、同郷ということで日比野さんのことはよく存じておりましたが、作品のことは知りませんでした。
しかし私がディズニー向けに作品を作っていたときに、密着取材をしてくれていたテレビ局の方と次のようなやりとりがあり、実はダンボールアートの先駆者であったことを知ったのです。
テレビ:「ダンボールアートといえば、日比野克彦だよね」
わたし:「え、そうなんですか?」
テレビ:「あれ、日比野克彦しらないの?」
わたし:「日比野さんは知ってますが、ダンボールアートのことは…」
無知って怖いですね(震)日比野さんが手がけたダンボールアートは、次のメディアでも紹介されています。グローブかっこいい。
日比野さんの講評は鋭く、的確でとても勉強になった
「清流の国ぎふ芸術祭」の催しの一環として開催された今回の講評会のことは、知人から教えてもらいました。
講評とは「説明を加え理由をはっきりさせながら批評すること」です。様々な表現をされている人達が集まり、その内容をプレゼンし、日比野さんが講評します。
距離が近い方がよい(日比野さんの意向)ということで、11人の参加者が小さなテーブルを囲み、順番にプレゼンしました。
絵本、写真、紙芝居、インスタレーション、コスプレ、彫刻など、様々な表現があり、高校生、大学生、会社員から定年を迎えたぐらいの方まで、少人数ながら幅広い年齢層。
最初にプレゼンした女性は子ども連れ。子どもは幼く、私の持っていったアイアンマンのかぶりもので遊んで大はしゃぎ。しかし母親はそれを止めません。私もなすがままに様子を見ていました。
子どもは一緒に表現を行っているとのことで、最初に子どもが発表。続いて女性が自身の作品ついて説明。抽象的な表現でしたが、そういうものは基本的には本人の説明なしで意味を捉えることは難しいです。
日比野さんの講評は次のような内容でした(少し不正確なところがあるかもしれません)。
・アートとはこういうものだと狭く捉えていないか
・自由に振る舞う子どもに何もいわないのは教育方針なのか(この問いに「はい」という回答)
・であれば、そのような自由さが本質ではないか(表現との不一致)
このようにすべての人達に対して、短時間で状況を見極めて、ずばりと本質的な指摘をするあたり、経験の豊富さに裏打ちされた審美眼の鋭さを感じました。
日比野さんは全員のプレゼンに真剣に耳を傾け、きちんと答えを返していて、参加者一同がとても貴重な経験ができたと思います。
講評会の最初に、日比野さんからは他の人の話を聞くのも大切という言葉がありましたが、本当にそのとおりで多くの学びがありました。
ダンボールアートの講評
私は最後の発表となりましたが、ざっくりと次のようなことを伝えたと記憶しています。
・肩書きはダンボールアーティスト、ブロガー、CGクリエイター
・フリーランスになって5年目
・最初のダンボールアートは他の人の設計図で作ったアイアンマン
・飲み会でアイアンマンがうけたのが嬉しかった
・自身の作品をアートとまでは捉えていない
・ダンボールアーティストの肩書きは覚えてもらうためという狙いがある
・直近の実績(クワガタ、きゃりーぱみゅぱみゅさん、ピースオブケイクの親子向け工作教室など)
・最近は基本に立ち返り、原点であるCGを力を入れて学習中
・CGの仕事もできるようにしていきたい
日比野さんからは、しっかりとした技工も持っているし、色んな種類のダンボールも使い分けているだろうし、よいのではないかという評価。
他の参加者が学生、または仕事をしつつ表現をしているのに対して、講評の対象を仕事にしているのは私だけだったと思います。
実績もあり、他の人達が表現そのものを模索しているのに対して、私はクライアントワークも多く、アート然としたものを作ろうという感じでもなかったので、割とあっさりしたコメントだったのかもしれません。
まだダンボールアートだけで食べて行けているわけではなく、そうするためにはどうすればよいかという質問には、まあ大丈夫的な回答(え〜w)。
ワークショップをもっと開催したり、誰かと組んでもよいかもという助言もいただきました。組むという発想はなかったかな。
あと、あいちトリエンナーレ2019で日比野さんが監修されている展示があり、そこで思いっきりダンボールにまみれてみたらと。行ってみようかな〜まわりは小学生しかいなさそうだけど(笑)
私の講評の途中でアイアンマンをかぶった日比野さん。なにか、わかりあえた気がしました(笑)
以前、noteにも書いたけど、私の表現の根底には「楽しませたい」というものがあるので、このように使ってもらえるのは本望です。
講評会は今回が2回目で、来年も開催されそう。さらにパワーアップしてお話させてもらえるよう頑張ります。日比野さん、ありがとうございました!