原田青果×SBI 淡路島玉ねぎ「一番シリーズ」誕生秘話②~はじまり~
まいど!スーバーバイヤー岩鼻です。
前回の続き。(ざっくり淡路玉ねぎの諸事情をご理解頂いている前提で進めます)
淡路島玉ねぎのブランディングで悶々とし始めたまさにその時ー。
僕の携帯が鳴るわけです。そう、相手は原田青果の原田社長。
「中生品種なのにサラダで食べれる珍しい品種を作っている」、と。
それが2020年7月7日。彦星と織姫のように出会うわけなのですが、僕は運命だと思いましたね。(変な意味じゃなくて)
消費者のニーズに応える救世主「七宝甘70号」
DMで2~3回やりとりしただけだったと思いますが、気が付けば原田青果さんの事務所にいました。この自分の機動力だけは褒めてあげたい。
後に「生一番」としてデビューする事になる「七宝甘70号」という品種は、6月に収穫する中生種でありながら水分が多く辛味が少ないため、一般的に早生種がなくなる8月以降もサラダとして食べる事ができるんです。
もう、ご理解頂けていますよね?
中生品種は「ターザン」「ターボ」等 いわゆる茶色い玉ねぎです。どうやって食べるんでした?そう、火を入れるんです。辛味が強いので。
ただ、淡路島玉ねぎは消費者の「生食」ニーズが多いのも事実。早生種の「七宝」がなくなる8月以降にそのニーズに答えられなくなるのが課題でもありました。
そこで、この「七宝甘70号」が期待され登場する訳です。
こいつは偽物の救世主⁉
2010年頃、彗星のごとく現れた「七宝甘70号」は一気に流行します。というのも、この品種は肥大性が強く収量ポテンシャルがとても高いんです。要は「めっちゃ収穫できるから儲かりまっせ」という品種でもありました。
が、あっという間に作付けが激減。
歩留まりが非常に悪いんです。めちゃくちゃ腐りやすいんです。1トン収穫しても600キロしか残らない品種より、800キロ収穫して600キロ出荷できる品種を誰でも選びますよね?貯蔵できるはずが貯蔵すればするほど腐っていく玉ねぎなんて誰も作りませんよ、という話です。ましてやヒヤヒヤしながら品質管理をしなければいけない訳ですから。
諦めなかった原田青果の勝ち(価値)
しかし生き残った奴らの味は抜群にいいんです。夏以降の救世主となれる事のポテンシャルを信じた原田さん。ここから10年間大変な苦労をする訳ですが、諦めなかった原田さんの勝ちで、その判断が全てのストーリーのはじまりとなり結果的に価値となった訳です。それにその判断がなければ僕とも出会っていなかったと思います(笑)
試行錯誤の末、ようやくある程度の出荷ができるようになったものの、根本的な問題に直面していました。
「サラダ玉ねぎ」として仲卸業者さんに販売し、島外の百貨店等に並べられていました。
勘の鋭い皆様はこの光景が想像つきますね?
もはや普通の淡路島産玉ねぎとして販売されているのと同じです。
「サラダで食べれる淡路島玉ねぎ」
・・・そんなん当たり前やん。
という世界観なんです。淡路玉ねぎの品種なんて誰も知らんし誰も興味ないんです。正確には、興味を持つ機会がなかったんです。(反省)
その玉ねぎは「サラダ玉ねぎ」ではなく
「新玉ねぎがなくなる夏以降にも生で食べる事ができる希少なサラダ用玉ねぎ」
なんです。
この売り方が出来ていなかったんです。
どうやって売ったら良いかわからないんです
僕も当たり前のように書いていますが、これは原田青果さんの10年間のご苦労、想い、真摯に向き合ってきた姿勢を聞き理解できる話なんですが
「どうやって売ったら良いかわからないんです」
これが生産者さんの生の声であり本音だと思います。
でも、もうここまで来たら完全に僕の十八番。
「お任せ下さい」 スイッチON
正直、ここの時点で絶対に売れると確信。こりゃ業界騒がすな、と。
コロナ禍の真っ只中であった為、現実的な数字は口にはしませんでしたが僕としては前代未聞の売上になるなと覚悟を決めたのでした。
そこからは、えぐいスピードで動き出します。
出会いから1ヵ月後には店頭でとんでもないデビューを飾ることになるのでした。
To be continued...
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