イベントレポ「食とブランディング」
こんにちはいわあゆ(iwa_ayu)です。
豚汁エバンジェリストを名乗り、世界中で豚汁が気軽食べられる世界を作るための活動をしています。
現代ブランディング主催のイベントにご招待いただきました。
私が立ち上げたTONJIRU STANDの未来を創っていくために、ヒントがあればと伺ったのですが大変学びが深かった。
ビジネスとして始めやすいが成長させるのが難しい「食」
参入障壁が低く、立地とコストそして味にフォーカスされるため、じり貧になりやすい領域と言われています。
特に日本は食に恵まれ、均一的な高品質の食事が簡単に手に入ります。
実は私の実家はセブンイレブンを2店舗経営しているのですが、控えめにいってセブンイレブンの品質のこだわりはとてつもなく、下手に手作りするよりもよっぽど美味しい食が手に入ります。
コンビニですから、24時間365日、いつでも食べたいときに食べたいものを食べられる環境があります。
そんな中で、食にフォーカスした事業を永続的に成長させていくのは簡単ではないことはすぐに分かります。
共通するのはプロダクトに込められた「ストーリー」の豊かさ。
さて、今回登壇されたのは新潟県から今代司酒造の佐藤さんと、東京で企業された小澤さんの2名でした。
どちらにも共通することはプロダクトに対する文脈の作り方。
「ストーリー」がしっかりしているということだな、と感じました。
デジタルと違って、先進技術を駆使した世界に1つだけのプロダクトを作るということはなかなかできません。
世界中にいる造り手と比較して、自分たちの何が長けていて、なぜそこに人が集うのか、その理由がしっかりしてること、そしてお2人ともそれぞれに方程式を持たれているのが面白いなと感じました。
今代司酒造 営業部長兼広報部長 佐藤さんのハナシ
まず佐藤さん
ウェディングプランナーから転身、傾いた酒造を立て直す、立役者となった方です。
日本全国で作られる日本酒にどう光を当てるか、を考えられていました。彼の商品開発のコンセプトの立て方はとても興味深かったです。
①アイデンティティ型
②マーケット創造型
③温故知新型
特に興味深かったのが、牡蠣専用の日本酒。ありそうでなかった‥‥
オイスターバーは海外からきたカテゴリですが、シーフードと白ワインの組み合わせはどうも生臭くてあまり好きでなかったんです。
※事実として、鉄分含有量が高く、鉄っぽい生臭さを引き出してしまうんだそうです。
「牡蠣専用」としてしまうことでマーケットは狭めるし、いっけん厳しそうではありますが、振り切ったことで、全国のイタリアンやフレンチからの引き合いが多くあるそうです。
日本酒と言えば居酒屋。
特に美味しい日本酒を飲もうとすると、高単価になり、割烹料理やなどの高級料理店にしか取り扱われなくなり、むしろ狭い領域での勝負になってしまいます。日本中にあるイタリアン・フレンチの数があれば十分市場として成り立つという事なのですね。
日本酒ひとつとっても色んな魅力付けの仕方があることが分かります。素材や作り方など「レシピ」そのものが巧を極めているのはもちろんだと思いますが、それだけだと伝わらないんですよね。
これは職人あるあるな気がします。
本人はプロ意識をもってプロダクトを極めることに集中していてそのクオリティがすさまじかったとしても、職人はそのプロダクトを作ることがゴールになってしまい、いかに手に取っていただくか、どうやったら伝わるか、そういう視点において、なかなかうまく動けないことが多いのではと感じます。
いいもの作ってりゃ売れる、時代ではないだけに。
魅力的なお話をお伺いしていくなかで、特に印象的だったのが
ブランディング=PULL
プロモーション=PUSH
という方程式。
至極当たり前といえば当たり前かもしれませんが、ブランディングがしっかりしていれば、売らんがなとプロモーションを打ちまくることなく、勝手に売れていく、という図式です。
分かってはいるけどそう簡単に出来ないというのが悩ましい(笑)
.science Inc.代表取締役 小澤さんのハナシ
次いで小澤さん
「いいものをつくる生産者をITでPRして収益化すること」をご自身のミッションとして、多数ご実績を上げられています。
そのどれもが、世界観の作り方が素晴らしくて・・
私も小澤さんが手掛けられた「アタラシイヒモノ」をいただいたことがあるのですが、こんなにも身近に、そして色んな汎用性がある器用さを持ち合わせたプロダクトだとは思わなくて、目から鱗でした。干物の概念が間違いなく変わると思います。
自信をもって一押ししたい商品なのでぜひお試しいただきたい。
小澤さんは1人で撮影からサイト構築などなんでもできちゃうスーパープロフェッショナルプロデューサーなのですが、全国にいる200名以上の生産者に会いにいくという地道な活動を経て、今があるのだなという事実と、本気の想いがなければこういった仕事は成し遂げられないなということを痛感しました。
小澤さんの方程式はこうでした。徹底的なブランディング、ブレない軸があります。
①価値を引き出す科学的事実
②価値を引き上げるトップシェフの起用
③実績を積み上げる
社名にもあるように、プロダクトの魅力をサイエンスによってエビデンスを見出し、証明する、といったアプローチが特徴的です。
とことんこだわり抜いた世界観をうたうだけでなく、なぜその商品が魅力的なのかきちんと数字で実証できるよう裏付けまでセットで用意されています。これが一つの型になっていました。
もともとは生産者の課題解決が起点のビジネスでしたが、加工品製造にあたり、障がい者福祉施設にて製造されている取り組みを実現されていました。
障がい者の労働といえば、単純作業×低賃金が当たり前でしたが、平均賃金よりも高いお給料を支払って仕事を依頼できる環境を作ることで課題解決の領域を拡張されていることにとても感銘を受けました。
あっという間の1時間半でしたが、とても濃厚で学びが深かったです。
これから先TONJIRU STANDを世界進出させるために必要な強いエピソードと、商品力、どちらも磨きをかけていかなければ、と気合の入る時間にもなりました。