尺骨動脈に入りやすい

シャントPTAを行う時に上腕動脈からアプローチする場合、順行性に穿刺し、通常は橈骨動脈を選択することになる。

穿刺針を挿入し、ガイドワイヤー(シース付属の先端形状アングルの物)を何も考えずに進めると、尺骨動脈に進むことが多い。実感では約7割の確率で尺骨動脈が選択される。上腕動脈との分岐角度が橈骨動脈の場合よりも浅いことが多いためと思われる。

橈骨動脈と尺骨動脈本幹はほぼ並走していることも多く、透視下でガイドワイヤーの進みを見ても、橈骨動脈/尺骨動脈のどちらに入っているかは分かりにくいことが多い。

尺骨動脈は橈骨動脈と比較して細いことが多く、シースを不用意に進めると、ウエッジしてしまう可能性があるので、注意が必要である。

尚、透析患者さんは一般に動脈硬化が強く、透視下で動脈壁の石灰化が視認できることがある。この場合には、透視下でもガイドワイヤーが橈骨動脈/尺骨動脈のどちらに入っているかがわかりやすいことがある。

上腕動脈や橈骨動脈を損傷してしまうと、シャント不全の原因になりうるばかりか、前腕の虚血を惹起しうるため、細心の注意が必要である。

シース添付のガイドワイヤー(先端アングル形状)で橈骨動脈の選択に少しでも困難を感じたならば、直ちにマイクロガイドワイヤーを用いて以後の手技を行うべきである。

シース添付のガイドワイヤーが先端J型であるものは、血管選択性能が非常に悪いので注意。使用しないのが無難。

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