「お金のことで諦めなくてもいい社会へ」SDGs ゴール1:貧困をゼロに
日本では、ひとり親世帯の半数以上が相対的貧困の状態にあると言われ、多くの子ども達が大学進学を諦めている。SDGs達成予定の2030年までに、やりたいことを諦めなければいけない子どもたちはどれほど残るのか。
SDGs ゴール1:「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」にもある通り、貧困の形態には様々なものがある。日本では、子どもの相対的貧困率が問題になっている。食べ物も着るものも家もある。学校にも通える。でも、大学進学のお金が足りない。塾に通うお金がない。こんな人、周りにいなかっただろうか?今回は、貧困層の子どもに対する生活・教育支援を行う団体で、インターンシップ生として働いた経験があるみどりさんにお話を伺った。
みどりさんは、大学在学中に教育支援NPO団体でインターンシップを経験。東北地方の子どもたちに向けて、学校以外の学習機会や地域の大人との交流の場などを提供した。「2015年に、岩手の学習施設で住み込みで働いていました。岩手の中でも特に震災の被害が大きかった場所です。震災直後は仮設の小中学校しかなく、塾などもありませんでしたが、その施設は2011年の12月に、放課後に子どもたちが立ち寄れる居場所として設立しました。時間をかけて地元住民との信頼を築き、学校の授業に携わったり、地域のイベントにも参加したりして、まさにその地に入り込んでいく感じでした。」
みどりさんが担当した町の子ども達の様子
町の子ども達には、勉強だけでなく、将来のキャリアについても指導を行ったそうだ。震災前から漁師町として栄えていた地区では、県外に出る人が少なく、子ども達のキャリアパスも、親を継ぐ、地元企業に就職するなど、固定化しがちだ。みどりさんは、県外から来た大学生として、子ども達に色々な経験を共有し、彼らの将来の選択肢が増えるようサポートしたそうだ。
- なぜ、教育支援NPOでインターンしようと思いましたか。
「もともと子どもの貧困や教育機会の不平等に課題意識を持っていました。私自身、両親共に非正規雇用で収入が安定しなかったので、経済的に余裕があるわけではなかったんです。環境に恵まれ、なんとか塾に行かなくても大学を卒業し就職までできましたが、「「自分はラッキーだった、他にもっと経済的に厳しいこどもたちがいるはず」」と考え、友人の紹介でインターンを見つけました。」
- ご自身のご経験から課題意識が芽生え、行動にうつされたんですね!学生時代の生活について伺ってもいいですか?
「住んでいた市では収入の少ない家庭を支援する制度があり、中学までは給食費が無料でした。高校も公立でしたが、ありがたいことに成績と収入によって3年間地元に縁のある企業から給付型の奨学金をいただいていたんです。特に生活が苦しいと思う場面はなく、バイトで稼いだお小遣いで友達とカフェやカラオケに行ったりと、普通の高校生らしい日常を過ごしていましたね。勉強は苦手でしたが、早朝は図書館、放課後は公民館にこもってしていました。分からないことや受験の対策は学校の先生に頼むと親身になってサポートしていただけたので、塾に行かずに済みました。本当に環境に恵まれていたと思います。」
- 未来の日本は貧困のこどもを救うためにどうあるべきだと思いますか?
「せめて義務教育ではできる限りみんなが同じ機会を持てるようになってほしいですね。お金がないことによって、子どもが何かを諦めることってあってはならないと思います。また、小学校、中学校でも、留年制度の導入を検討してほしいです。現在の義務教育では、どんなに勉強が遅れていても進級する制度ですよね。お金がなくて塾に行けない子はどんどん取り残され、孤立したり、非行に走ってしまったりします。教育の不足が更なる貧困を生むこともあるので、誰もが自分のペースで学べる制度が理想ですね。」
- 確かに、日本の義務教育には個別指導や学びなおしの機会が不足していますね。教育と貧困の関連性は大きいですよね。
「多くの学生が利子付きや返済必要な奨学金を借りていますが、学校や国以外で、民間企業などもより積極的に奨学金を設立するような世の中になればとは思います。現在は企業に勤めていますが、将来的に企業としての子どもへの支援にも関わってみたいです。」
※本インタビュー内容は、弊社のSDGsをクリティカルに考える英語教材「Thinking Critically about SDGs」のSDGs ゴール1:Lesson4に収録されています。
「Thinking Critically about SDGs」では、中高生がSDGsを英語で学びながら、社会に対してクリティカルに考え、自分の意見を表現することができる教材です。「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、一人でも多くの方が社会を見つめ、考え、自分なりに意見を持つ、ことが重要だと考えています。本教材は、それらを習得できる教材です。
また、この度本教材については、”環境に配慮したFSC認証紙で書籍化のためのクラウドファンディング”を9月に実施することを予定しております。
ぜひ本教材の普及にご協力いただける方は、本note記事のシェアやクラウドファンディングページ(準備中)へのご支援をよろしくお願いいたします。