この職場では成長できない気がする
みなさん、こんにちは。井内 正博です。ご訪問いただき、ありがとうございます。
お困りごとファイル008は「この職場では成長できない気がする」です。
これは、転職を考えている人からよく聞くお悩みですが、別に最近の「職場の悩みあるある」というわけではなく、以前からありました。12回も転職をしてきた僕も、何度かこういう気持ちになったものです。
「成長」とは生物や物事が発達して大きくなることをいいます。「成長」ということばの響きには、無限の可能性や明るい未来、底知れないエネルギーを感じます。転職を考える人たちはこの文脈で「この職場では成長できない気がする」と言うわけです。
「成長」は、実に都合のいいことばだとも思います。「成長」ということばを、僕たちは一種の方便として使っています。このことばを使うことによって、様々なことが許される。いわゆる、免罪符として使用している。つまり、自他をなんとなく納得させるパワーを持ったことばで、こういった文脈で転職を正当化する場合もあります。
自らが求める成長、社会で求められる成長には、「発達し大きくなること」以外にも「変化すること」の意味も含まれています。「変化」とは生物学的に言えば「変態」のことで、幼虫から成虫に変わるのをイメージしていただくと分かりやすいでしょう。思考パターンだけでなく、行動、筋肉や骨格など身体的構造も変わることです。
たとえば、横歩きしかできない蟹が、外敵に遭遇して生命の危機を感じ、咄嗟に前後にも歩けるようになった。
たとえば、のんびりと毎日を送っていた亀の甲羅に、ある日突然羽が生えて空を飛べるようになり、広い世界を見て感動したりする。
社会の中で生きる人間として、ときには、こういう劇的な変化を求めたり、求められたりすることもあるでしょう。どうせ転職するのであれば、そういう劇的な変化を求めて転職していただきたいものです。あちらの方が給料や条件が良いから、という理由だけでは、なんとなくがっかりしてしまいます。
若年の転職はそんな感じで良いと思いますが、中高年以降の転職はどうでしょうか? 「発達し大きくなること」が難しくなった年代の方たちには、ぜひ「成熟」を求めて、転職や起業をしていただきたいと思います。
「成熟」とは、日々自らに降りかかってくる肉体的なこと、精神的なことに関する「不都合なこと」との上手な向き合い方が出来ることです。つまり、どんな境遇にあっても人生の楽しみ方を追求できる知恵と余裕がある状態が「成熟」。そんなふうに僕は考えています。
40代後半に独立起業した僕ですが、うまくいかないこともあります。今月の売上が目標に達しないと焦ったり、この忙しさでいつまで働き続けることが出来るのだろうかと不安になったり(貧乏暇なし)しています。「成熟」を堪能できる日々はまだまだ先になりそうですが、「生きている感」はハンパなくあるので、自分の進むべき方向は間違っていないのだろうと思っています。