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【感想】ディズニーシー / ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~
飛ばされてしまったと思っていた洗濯物が、郵便ポストの近くに置かれていた。お気に入りの洋服が戻ってきて嬉しいし、そうやって置いてくれる人がいるあたたかさが嬉しかった。
サンダルで歩き疲れ、家まで続く階段を登りながら、あぁやっぱり私は人が好きなんだな、と思ったのだった。
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その日はちょうど、友だちとディズニーシーに行った日だった。7年ぶりのディズニーシー。こんな感じだったっけなぁと不思議に思いながら楽しんでいた。
その中でも楽しみにしていたのが、夜の水上ショー「ビリーヴ!~シー・オブ・ドリームス~」 。評判がよくて、一時間前から全体を見れる位置でスタンバイしていた。
*この先はショー内容のネタバレが少し含まれますので、ご注意ください。
たくさんの街灯が、徐々にその光を弱めていく。ピーターパンたちの声。真ん中にあるあの大きな機械は何なんだろうと思っていると、閃光のような照明が始まりを告げた。
あっという間の30分間だった。正直、ディズニーは詳しくない。どのキャラクターがとか、どういう作品でとか、わからない。でも涙が出た。それは、エンターテイメントが確かに心を揺るがすことの証明だった。そして、私は人が好きなんだと改めて実感したのだ。
たくさんの人がこのショーを見ていること。次々と現れるキャラクターたちは、数々の冒険を乗り越えて今ここで輝いている。ファンにとっては、作品の中でしか会えない彼らに直接会える機会だ。それが、その作品やキャラクターを存分に活かす演出だったとしたら、どれだけ嬉しいんだろう。
きっとその作品を見た誰かは、時に冒険に身を委ねたし、失敗もして、夢をもって、その夢さえ破れようとしたこともあるだろう。それでも今日のショーを見て「やっぱり信じてみよう」と思い直すのかもしれない。
願い星――信じたいものが、誰にだってあるはずだ。あのメディテレーニアンハーバーを囲む誰もが、一度は思い描いた夢を思い出すのだと、ドキドキした。
そして、見ている人の中には、小さい子どもと一緒に来ている人もいるだろう。家族と、友だちと、職場の仲間と、あるいは一人で、あるいは恋人と。大切な自分や誰かとともに、この物語の世界を描く海を見ていること。
小さい頃ディズニーに行ったときの記憶は、覚えていない。誰と行ったのか、どこに行ったのか全くわからなくて、写真を見て「そうだったんだ」という感じだ。けれど、誰かと行った、その大切にされていた記憶が、今の私を支えていると思っている。
そうやって、照明や舞台装置で輝くこの光景を、みんないつか忘れてしまう。ゆっくりとそのディティールはなくなって、思い出として括られていく。それでも、そのときに大切な人とともに見たこと、その事実は消えない。それが嫌な思い出になったとしても、エンターテイメントが見せてくれる夢と希望は、自分の中に残り続ける。
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私は、エンターテイメントが好きだ。それはそこに人が関わるからだと思う。誰かが心を揺さぶられている、そのことに感動してしまう。たくさんの気持ちが揺れるとき、私は泣いてしまうのだ。
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冒険とイマジネーションの旅の終わり、疲れきった足で家に帰る。帰りたくないよとさんざん友人と愚痴って、帰ってからいつも通りコンタクトをはずしてシャワーを浴びて髪を乾かす。カチューシャもぬいぐるみもお土産も買わなかったから、私の夢の名残はあの煌めく照明と音楽だった。既に忘れかけているその光景を思い出しながら眠った。
たくさんの人が見ていたあの中に、私も混ざり、みんなと一緒に夢を思い出した。ディズニーリゾートは40周年を迎えたという。それは、誰かの感動が歴史となり、あの海辺のショーを作り出し、また誰かの感動を生み出しているということだ。その連鎖に私はまた嬉しくなり、嫌なことがあっても、まぁ明日を迎えようかと眠りにつける。明日も誰かと会えるなら、そんな風にして。